顧客満足度調査は、企業が顧客との関係を強化する手段のひとつです。調査結果をもとにカスタマーボイスを可視化し、顧客体験の改善を重ねることで、顧客ロイヤルティの向上やLTV(顧客生涯価値)の最大化につながります。
本記事では、顧客満足度調査とは何かを整理したうえで、具体的な調査方法を解説します。顧客理解を深め、商品・サービスの改善に活かしたい方は参考にしてください。
顧客満足度調査とは?

顧客満足度調査(CS調査)は、商品やサービスを利用した顧客が、どの程度満足しているかを数値として把握するための調査です。CSはCustomer Satisfactionの略で、顧客満足度を意味します。
顧客満足度調査の目的
顧客満足度調査の主な目的は、顧客に評価されているポイントや、不満を感じているポイントを明確にすることです。評価の高い点は維持・強化し、課題となっている点は優先的に見直すことで、顧客体験の質を高められます。こうした改善の積み重ねが、商品・サービスへの信頼性向上やリピーターの獲得につながります。
また、調査結果を公開することで、新規顧客が商品やサービスを選ぶ際の判断材料として活用することもできます。
さらに、顧客満足度調査は競合他社との比較にも役立ちます。自社と競合サービスの評価を照らし合わせることで、市場におけるポジショニングや、自社の強み・弱みを把握できます。
顧客満足度調査の種類

CSI
CSI(Customer Satisfaction Index)は、日本語では顧客満足度指数と呼ばれます。アメリカで開発されたACSI(American Customer Satisfaction Index)をはじめとして、現在は約30カ国で同様の考え方に基づくCSIが活用されています。
JCSI
JCSI(Japanese Customer Satisfaction Index)は、日本版顧客満足度指数と呼ばれ、CSIを日本の市場環境に合わせて再設計したものです。顧客期待、知覚品質、知覚価値、顧客満足、推奨意向、ロイヤルティの6指標を用いて顧客満足度スコアを算出します。公益財団法人日本生産性本部が中心となり、サービス産業を対象に毎年調査を実施し、その結果を公表しています。
NPS®
NPS®はNet Promoter Scoreの略で、日本語ではネット・プロモーター・スコア®や顧客推奨度と呼ばれます。企業やブランドをどの程度他人に薦めたいかを0〜10点で評価してもらい、その回答をもとにスコアを算出します。回答者は、0〜6点を「批判者」、7〜8点を「中立者」、9〜10点を「推奨者」に分けられ、推奨者の割合から批判者の割合を差し引いた値がNPS®となります。
オリコン顧客満足度®
オリコン顧客満足度®は、オリコン株式会社が実施・公表している顧客満足度指標です。調査は約200の産業ごとに設計されており、同一業種内での比較に活用しやすい点が特徴です。調査結果は「オリコン顧客満足度ランキング」としてウェブサイト上で公開されています。
顧客満足度調査の実施方法と実施場所

アンケート調査
アンケート調査は、多くの顧客から効率よく意見を集めたい場合に適しています。インターネットや郵送を活用することで、時間や場所を選ばずに、短期間で一定数の回答が得られます。また、設問や回答形式を統一することで、顧客属性ごとの傾向を把握しやすくなります。
たとえば、商品・サービス購入後にメールでアンケートを配信し、満足度や再利用意向を5段階評価で回答してもらうことで、商品別・顧客層別の評価データを収集できます。
対面インタビュー
対面のインタビューや座談会は、顧客の考え方や実体験をより深く理解したい場合に適しています。インタビューは1対1で実施し、対面やオンラインを通じて、利用時の行動や感じた点を具体的に聞き取ります。一方、座談会は複数の顧客が参加する形式で、意見交換を通じて共通点や相違点を引き出せます。
たとえば、過去に商品やサービスを利用した顧客にメールやアプリ通知で参加を呼びかけ、オンライン会議ツールや社内会議室などで実施します。参加者の同意を得たうえで内容を録音し、後日振り返りや分析に活用します。
他の調査方法と比べて顧客の負担が大きいため、クーポンやノベルティの提供など、インセンティブを提示して参加を促す工夫が必要です。
リサーチ会社による調査
リサーチ会社による調査は、客観性の高いデータを取得したい場合に適しています。第三者の立場で実施されるため、自社調査と比べて結果の信頼性を確保しやすい点が特徴です。
たとえば、定期的な顧客満足度調査をリサーチ会社に委託することで、時間の経過による評価の変化や傾向を把握できます。
また、共通の評価基準に基づいて調査が行われるため、同業他社のデータと照らし合わせながら、自社の評価を相対的に確認することが可能です。評価結果が高い場合は、第三者による調査結果として公表することで、商品やサービスの信頼性を示す根拠として活用できます。
ウェブサイト上での顧客行動調査
Webサイト上での顧客行動調査は、自社サイトを通じた顧客体験の満足度を把握したい場合に適しています。顧客からの回答を必要としないため調査負担が少なく、継続的にデータを取得しやすい点が特徴です。
たとえば、特定の商品ページでリピート注文が発生している場合は、その商品やページコンテンツに対する満足度が高い可能性があります。一方で、サポート関連ページの閲覧が集中している場合は、商品ページでの説明不足やサイトの使いにくさが原因となっている可能性があります。
顧客満足度調査で尋ねるべき質問

顧客満足度調査では、商品・サービスに対する総合的な満足度や、顧客体験に関する各要素についての満足度を尋ねます。代表的な質問例は以下の通りです。
- 商品・サービス全体の満足度をどのように評価しますか?
- 商品・サービスは、お客様の期待にどの程度応えていましたか?
- 商品・サービスを、友人や同僚に薦めたいと思いますか?
- 商品・サービスを再度購入する可能性はどのくらいありますか?
- 商品・サービスの品質について、どの程度満足していますか?
- 価格に対する価値(費用対効果)をどのように感じましたか?
- 商品・サービスは、どの程度使いやすいと感じましたか?
- 購入や申し込みのプロセスは、分かりやすいと感じましたか?
- 利用する中で、特に良いと感じた点はどこですか?
- 改善が必要だと感じた点はどこですか?
- 問い合わせや相談に対する対応の速さをどのように評価しますか?
- 担当者の知識や説明の分かりやすさについて、どのように感じましたか?
- 商品・サービスについて、その他にご意見やご要望があれば教えてください。
自由記述で意見を求める質問を除き、各質問は評価スコアで回答できる形式にするのが一般的です。たとえば、以下のような5段階評価を用います。
(5 非常に満足 4 やや満足 3 どちらともいえない 2 やや不満 1 不満)
このように共通の評価基準を設定することで、設問ごとの満足度の違いや、時系列での変化を把握しやすくなります。
顧客満足度調査を実施する際のポイント

- 質問はシンプルにする
- 調査の目的を明確にする
- 閉じた質問と開かれた質問を使う
- 中立的な言葉を使う
- 解約・離脱した顧客も対象にする
- 調査目的や所要時間・回答期限を明示する
- 調査結果を社内で共有・活用する
- 個人情報の取り扱いに注意する
- アプリを使用する
質問はシンプルにする
アンケートやインタビューでは、ひとつの質問につき、ひとつの内容だけを尋ねるようにします。質問に複数の要素が含まれていると、回答者が答えに迷い、結果として回答の精度が下がる原因になります。たとえば、「価格や使いやすさについてどう感じましたか」とまとめて聞くのではなく、「価格に対する満足度」「使いやすさに対する満足度」と分けて尋ねることで、どこに評価や課題があるのかを正確に把握できます。
調査の目的を明確にする
改善したい課題や検証したい仮説を事前に整理したうえで、どの情報が必要かを考え、質問を組み立てましょう。たとえば、解約が増えている理由を把握したい場合は、使いにくさやサポート対応に関する設問に絞ることが考えられます。目的を明確にすることで、質問数を必要最小限に抑えられ、回答者の時間的な負担を減らすことにもつながります。
閉じた質問と開かれた質問を使う
評価スケールを用いた閉じた質問は、傾向の把握や比較分析に適しています。一方で、評価の理由や背景を知りたい場合には、自由記述などの開かれた質問が有効です。定量的な質問で全体像を把握しつつ、補足として少数の自由記述を設けることで、具体的な改善ヒントを得やすくなります。
中立的な言葉を使う
質問の言葉選びは、顧客の回答に影響を与えないよう配慮しましょう。たとえば、「改善された新機能についてどう思いますか」と尋ねると肯定的な印象を与えてしまうため、「新機能についてどのように感じましたか」といった中立的な表現のほうが適切です。また、「多くのお客様に好評ですが」といった前置きも、回答を誘導する要因になり得ます。顧客の声や評価をそのまま引き出すためにも、事実や前提を決めつけてはいけません。
解約・離脱した顧客も対象にする
解約や離脱した顧客を対象に調査を行うことで、顧客満足度を低下させている問題点を把握できます。たとえば、価格、使いにくさ、サポート対応などの項目について評価を尋ねることで、どの要因が低評価になっているかを整理できます。さらに、自由記述の質問も設けることで、不満の理由を具体的に把握できます。こうして見つけた課題を改善につなげることで、同様の理由による将来的な離脱を防ぐ施策を検討しやすくなります。
調査目的や所要時間・回答期限を明示する
アンケートの目的や所要時間、回答期限を事前に明示することで回答率アップにつながります。たとえば、「今後の商品・サービス改善の参考にするため」「回答時間は3分程度」といった情報を最初に示すことで、調査の意図や負担感が分かり、回答への心理的なハードルを下げられます。また、回答期限を明確にすることで、後回しを防ぎ、早めの回答を促す効果もあります。
調査結果を社内で共有・活用する
顧客満足度調査の結果を関係部署に共有することで、商品・サービスや業務プロセスの見直しにつながる具体的な施策を検討しやすくなります。たとえば、サポートに対する満足度が低かった場合、その結果をサポート担当部署に共有することで、対応フローや体制の改善といった課題解決につなげられます。また、顧客から寄せられたポジティブなコメントを共有することは、担当者のモチベーション向上にも効果的です。調査結果をもとに改善を行い、その変化を次回の調査で確認するというサイクルを回すことで、継続的な顧客体験の向上が期待できます。
個人情報の取り扱いに注意する
顧客満足度調査で個人情報を扱う場合は、十分な管理体制を整え、顧客の信頼を損なわないよう配慮する必要があります。たとえば、アンケート実施前に回答の利用目的や管理方法を明示し、必要以上の情報を収集しないことが重要です。また、調査データへのアクセス権限を限定する、外部ツールを利用する場合はセキュリティ基準を事前に確認するといった対策も欠かせません。
アプリを使用する
Shopify(ショッピファイ)ではAsklayer(アスクレイヤー)などのアンケートアプリを使用することで、手軽に顧客満足度調査を実施できます。たとえば、購入完了ページにアンケートを表示したり、購入後に自動でフォローアップメールを送信したりすることで、顧客体験の直後にフィードバックを収集できます。調査結果はアプリ管理画面上で集計・可視化できるため、集計作業に手間をかけず、改善施策の検討に集中しやすくなります。
まとめ
顧客満足度調査は、顧客が商品・サービスや顧客体験をどのように評価しているかを把握するための手段です。調査を通じて得られたカスタマーボイスは、商品・サービスや業務を改善するための基盤となります。
調査は一度きりで終わらせず、結果をもとに改善を行い、その効果を次の調査で検証するサイクルを回すことが重要です。自社の目的や体制に合った形で顧客満足度調査を取り入れ、事業成長に活かしていきましょう。
よくある質問
CS調査とは?
CS調査とは、顧客満足度調査のことで、商品・サービスや利用体験に対する顧客の評価を収集するための調査です。CSはCustomer Satisfactionの略です。
顧客満足度調査のやり方は?
- アンケート調査
- 対面インタビュー
- リサーチ会社による調査
- ウェブサイトでの顧客行動調査
顧客満足度調査の質問項目は?
顧客満足度調査では、主に以下の項目について質問を作成します。
- 全体的な満足度を把握する質問
- 顧客ロイヤルティを測る質問
- 商品・サービスの評価に関する質問
- サポート・対応品質の評価に関する質問
- 自由記述で意見を集める質問
文:Hisato Zukeran





