BFCMの一つであるブラックフライデーは、日本でも大手ショッピングセンターやAmazon(アマゾン)をはじめとするECモールが大々的に取り組むようになったことで、近年は一般消費者にも広く浸透してきています。
年末商戦のスタートを切るこのキャンペーンは、EC事業者にとって売り上げ拡大の大きなチャンスですが、競争が激化する中で成果を出すには、単なる値引き告知ではなく、顧客に響く販促メールを設計し、適切なタイミングで配信することが重要です。
そこで本記事では、実際のメール事例や日本のEC事業者が応用できる工夫を紹介します。次のブラックフライデーに向けて、自社のメールマーケティング戦略に取り入れていきましょう。
ブラックフライデーのメール実例7選とテンプレート
1. セール開始直後のリマインドメール
女性用アンダーウェアブランドのPepper(ペッパー)は、シンプルなリマインドメールをブラックフライデー開始時に送り、セール内容を分かりやすく伝えています。ブランド名、セール時期、割引率、CTA(行動喚起)ボタンといった必要な情報だけを簡潔にまとめることで、顧客が迷わず行動できるようにしています。
メールの内容
見出し:
ブラックフライデーイベント開催中
全品最大40%オフ
本文:
売り切れる前に、迷わずお気に入りを手に入れましょう!
CTAボタン:
今すぐ購入
応用メールテンプレート
件名:
ブラックフライデー限定セール!最大【割引率】%オフ
本文:
こんにちは、【ブランド名】です。いよいよブラックフライデーセールがスタート!
【開始日】〜【終了日】の期間中、全商品が最大【割引率】%オフ。
セール会場はこちら【URL】
在庫がなくなり次第終了となりますので、ぜひお早めにチェックしてください!
CTAボタン:
今すぐセールを確認する
2. 早期アクセス特典メール
サプリメントブランドのHUM Nutrition(ハム ニュートリション)は、ブラックフライデーセールへの早期アクセス情報を伝えることで、既存顧客の特別感を高め、購買意欲を喚起しています。
また、鮮やかな色使いや商品の画像を前面に押し出したデザインでブランドの世界観を維持しつつ、早期アクセスの提供、割引率、クーポンコード、CTAボタンなどの重要な情報は、色や画像に埋もれないよう、テキストの大きさや配置を工夫して目立たせています。
メールの内容
見出し:
早期アクセス
サイト内すべて30%オフ
本文:
1年のうちで最大のキャンペーンが始まります。このメールを受け取ったお客様は、一足早くキャンペーンにアクセスできます!さあ、健康を手に入れましょう。
こちらのコードをご利用ください:HUM30
CTAボタン:
ショッピングを始める
応用メールテンプレート
件名:
お客様限定の先行アクセス!【ブランド名】のブラックフライデーセール【割引率】%オフ
本文:
こんにちは、【ブランド名】です。
【顧客名】様へ、今年のブラックフライデーセールへの早期アクセスをご用意しました。
【開始日】〜【終了日】の期間中、対象商品が最大【割引率】%オフとなります。
ご利用の際は、クーポンコード:【クーポンコード】を入力してください。
期間限定の先行特典となりますので、ぜひこの機会にお早めにチェックしてください。
CTAボタン:
セール会場はこちら
3. 段階的特典メール
ナチュラルコスメを扱うthe detox market(デトックスマーケット)はブラックフライデー期間中に提供する、購入金額に応じた割引と無料ギフトについてメールで訴求しています。段階的な特典を設けることで、顧客はもう少し買えばお得になると感じ、AOV(平均注文額)の向上につながります。
さらに、ブラックフライデーをきっかけに無料ギフト商品を多くの顧客に試してもらうことで、その商品の認知や次回購入につながる効果もあります。
メールの内容
見出し:
フルサイズ美容液プレゼント
ブラックフライデーセール開催
CTAボタン:
今すぐ購入
本文:
最大80ドルオフ!
100ドル分のご購入で15ドルオフ
200ドル分のご購入で30ドルオフ+フルサイズ美容液プレゼント
400ドル分のご購入で80ドルオフ+フルサイズ美容液プレゼント
店舗およびオンラインで有効。コード入力不要。一部対象外商品あり。
応用メールテンプレート
件名:
ブラックフライデー限定!ご購入金額に応じて割引+無料ギフト
本文:
こんにちは、【ブランド名】です。
ブラックフライデー期間中、ご購入金額に応じて特典を提供します。
【購入金額A】円以上で、【割引A】円オフ
【購入金額B】円以上で、【割引B】円オフ+【ギフト内容】を無料プレゼント
【購入金額C】円以上で、【割引C】円オフ+【ギフト内容】を無料プレゼント
在庫がなくなり次第終了となりますので、ぜひお早めにご利用ください。
CTAボタン:
対象商品をチェックする
4. ロイヤルティプログラム登録促進メール
ナチュラルスキンケアブランドのTANIT Botanics(タニットボタニクス)は、ブラックフライデーに先立ち、早期アクセスへ参加するためのVIP登録を促すメールを配信しています。早期アクセスを特典として提示することで、ロイヤルティプログラムへの参加、メーリングリストへの登録、サブスクリプションプランのアップグレードなどの行動を後押しできます。
これにより、顧客ロイヤルティを高めると同時に、顧客生涯価値(LTV)の向上にもつながります。
メールの内容
見出し:
まもなく開催
本文:
今年のTANITストアは、初の試みとしてホリデーキャンペーンを早めに開催します。
日頃ブランドを支えてくださる皆さまへの感謝の意を表して、VIPアーリーバードリストにご登録くださったお客様に、誰よりも早いブラックフライデーセールへのアクセスをご提供します。
登録特典:
会員限定の特別割引
「Change Friday」活動への貢献
数量限定ホリデーギフトボックスの先行公開
焦らずに必要なものを買い物できる
CTAボタン:
VIPリストに登録する
応用メールテンプレート
件名:
会員登録ユーザー限定!ブラックフライデー先行セールへご招待
本文:
こんにちは、【ブランド名】です。
今年のブラックフライデーは、会員の皆さまに以下の特典をご用意しました。
先行セールでお得にお気に入りを手に入れましょう。
いち早くセールにアクセス可能
ポイント付与率アップ
数量限定商品の先行予約
会員登録がまだのお客様は、この機会にぜひ、登録をお済ませください。
会員限定セール会場はこちら【URL】
CTAボタン:
会員登録する
5. ブランドミッションを伝えるメール
アウトドアブランドのPatagonia(パタゴニア)のブラックフライデーメールは、割引やクーポンではなく、環境への配慮というブランドミッションを前面に打ち出しています。件名には「壊れたら修理しよう!(If it’s broke, fix it!)」と掲げ、顧客に対して服を大切に扱い、長く使うことを改めて考える機会を提供しました。
この施策は、短期的な売り上げを追うのではなく、サステナビリティへの貢献というブランドの使命を軸に長期的な価値を築く企業ブランディング戦略です。また、他社がこぞって割引や購入期限を訴求する中で、あえて真逆のアプローチをとることで、同じ考えや信条を持つ顧客からの共感や信頼の獲得につながっています。
メールの内容
見出し:
ブラックフライデーに対する私たちの姿勢
本文:
ブラックフライデーの熱狂がやってきました。
私たちは、大幅な割引や期間限定オファー、節約のためにもっと買うように促すことはしません。
その代わりに、少し立ち止まり、服を通じて私たちが築いてきた絆について考えてみたいと思います。
応用メールテンプレート
件名:
今年のブラックフライデーは「修理」から始めませんか?
本文:
こんにちは、【ブランド名】です。
今年のブラックフライデー、私たちは「割引」ではなく「サステナブルな選択」をご提案します。古くなった商品をもう一度大切に使えるよう、【修理サービス/修理キットの提供/修理ワークショップ】を開催します。
私たちは安売りや大量消費をよしとせず、ものを長く使う価値を共有していきたいと考えています。
【ブランド名】と一緒に、持続可能な未来へ一歩踏み出しませんか?
CTAボタン:
キャンペーン詳細を確認する
6. カウントダウンメール
スキンケアブランドのRevision Skincare(リヴィジョンスキンケア)は、ブラックフライデーの終盤に「FINAL HOURS(残りわずか)」と大きく表示したカウントダウンメールを配信しました。セール終了が迫るタイミングで緊急性を強調することは、購買を迷っている顧客に対して、今行動しなければ機会を逃すという最後の一押しとして機能します。
短期的な売り上げを大きく押し上げるだけでなく、キャンペーン全体の成果向上にもつながります。
メールの内容
見出し:
セール終了まであと少し
本文:
今シーズン最高のお得なオファーを手に入れる最後のチャンスです。ご自身のお買い物にも、ホリデーギフトとしても、ぜひご利用ください。
149ドル以上購入でトラベルサイズのフェイスクリーム(72ドル分)無料プレゼント
(キャンペーンコード:CYBERWEEKFACE24)
または
249ドル以上購入でトラベルサイズのセラム(135ドル分)無料プレゼント
(キャンペーンコード:CYBERWEEKENERGY24)
応用メールテンプレート
件名:
【残りわずか】ブラックフライデーセール、本日終了!
本文:
こんにちは、【ブランド名】です。
いよいよブラックフライデーセールも本日で終了となります。「気になっていた商品がまだカートに入ったまま…」という方も、今が最後のチャンスです。
【開始日】〜【終了日】の期間中、全商品が最大【割引率】%オフ。
セール会場はこちら→【URL】
在庫がなくなり次第、または本日【終了日時】をもって終了となります。
この機会をぜひお見逃しなく。
CTAボタン:
今すぐセールを確認する
7. セールを逃した人へのリカバリーメール
リラクゼーショングッズブランドのNordic Oil(ノルディックオイル)は、ブラックフライデー終了後に期間限定の再チャンスセールを開催し、購入を促すリカバリーメールを配信しました。キャンペーンを見逃した顧客に、まだ間に合うと訴求することで、再び購買意欲を喚起し、取りこぼしを最小化できます。さらに、顧客に対して特別な救済措置を提示することにより、優遇感や安心感を与え、顧客ロイヤルティを強化できます。
メールの内容
見出し:
臨時セール
今から16時間限定で35%オフ!
チェックアウト時にコード「35MBF」を使用してください
CTAボタン:
商品を見る
本文:
ブラックフライデーを逃してしまいましたか?今年最大のセールを見逃してしまったのは残念ですが、ご安心ください。今なら最後のチャンスとして35%オフをご利用いただけます!
クーポンコード「35MBF」
応用メールテンプレート
件名:
ブラックフライデーを逃した方へ―今だけ再チャンス!【割引率】%オフ
本文:
こんにちは、【ブランド名】です。
ブラックフライデーを見逃してしまった方へ、特別にラストチャンスをご用意しました。
本日から【時間】限定で、全商品が【割引率】%オフ!
セール会場はこちら【URL】
ぜひこの機会をご活用ください。
CTAボタン:
今すぐセールをチェックする
ブラックフライデーメールの構成と送るタイミング

ブラックフライデーメールの効果を高めるために、以下のような構成でメールマーケティングを行いましょう。
1. 事前の告知
ブラックフライデーの数週間前からセール開始を告知するメールを送ります。以下の内容を含めることで、顧客の期待感を高められます。
- ブラックフライデーセールの開始日と期間
- セール対象商品や割引率
- キャンペーンページへのリンク
2. セール開始の発表
セール開始と同時にメールを送信し、すぐに買い物を始めてもらえるようにします。特に人気商品やおすすめ商品をピックアップして紹介すると効果的です。顧客セグメントに応じた内容にすることで、コンバージョン率を高めることもできます。
3. セール終了カウントダウン
本日終了、残り〇〇時間、などの言葉を使い、残り時間の少なさを強調します。迷っている顧客の背中を押す最後の一手となります。ランディングページを使って人気アイテムへ誘導したり、より高い割引率などを提供したりすることで購入を促せます。
4. セール終了後のリカバリー
ブラックフライデーを逃した顧客向けに、特別延長セールとして再チャンスを案内します。これにより、購買機会を逃した顧客を再度取り込み、満足度を高めることができます。
5. サイバーマンデーの予告
ブラックフライデーの次に控えるサイバーマンデーの告知をします。BFCM(ブラックフライデーとサイバーマンデー)の流れでセールが連続することを知らせることで、顧客の購買意欲を維持し、追加のコンバージョンを狙えます。さらに、割引内容や対象商品を一部変えることで新鮮さを演出し、再度の購入を促進できます。
ブラックフライデーのメール配信自動化

メール配信を自動化することで、ブラックフライデーから年末商戦にかけての業務負担を軽減し、ブラックフライデー当日にリソースを集中させられます。また、事前に仕組みを用意しておくことで、顧客に最適なタイミングで情報を届けられます。
たとえば、Shopifyメールなどを活用すれば、テンプレートを基に以下の様なメールを簡単に設定できます。
- ウェルカムメール:ブラックフライデー期間中の新規会員登録者へ、ブランド紹介や特典を自動配信します。
- 早期アクセス招待:セグメント配信機能を使って優良顧客やメルマガ会員に先行セール案内を配信し、コンバージョンを獲得します。
- カゴ落ちメール:カートに商品を残した顧客へリマインドを送信します。
- リターゲティングメール:商品ページを閲覧しただけで離脱した顧客に、関連商品や割引情報を提示して購入を後押しします。
- 購入後のクロスセルやアップセル:購入済み顧客に関連商品や上位モデルを提案し、AOVを引き上げます。
まとめ
ブラックフライデーは、EC事業者にとって年間最大級の売上チャンスです。しかし競争が激しいため、単なる値引きの告知では競合他社の中に埋もれてしまいます。チャンスを最大化するには、開始直後のリマインド、早期アクセス特典、段階的特典などのアプローチを組み合わせ、戦略的にメールマーケティングを行いましょう。そうすることで、顧客の目にとまりやすくなり、購買意欲を喚起して売り上げにつなげられます。
さらに、メール配信の自動化を活用すれば、BFCMから年末にかけての繁忙期でも効率的にショップを運営できます。
次のブラックフライデーでは、自社のブランドに最適なメール戦略を実施し、大きな成果をつかみましょう。
ブラックフライデーのメールに関するよくある質問
ブラックフライデーの予告・告知メールはいつ送る?
ブラックフライデーの告知メールは、セール開始の2〜3週間前から送るのが一般的です。早めに知らせることで顧客に期待感を持たせ、当日の購買意欲を高められます。さらに、セール開始直前にもメールを送信することで、顧客にセールを意識してもらいやすくなります。
ブラックフライデーのメールに絵文字を活用すべき?
絵文字は、ブランドの世界観に合う場合には有効です。親しみやすさや楽しさを演出し、メールを目立たせる効果があります。ただし、高級志向やフォーマルさを重視するブランドでは、逆効果になる可能性があるため注意が必要です。
ブラックフライデーのメールはどんなデザインがいい?
ブラックフライデーのメールデザインは、ブランドの特性や顧客層に合わせたものを選ぶのが効果的です。代表的なパターンは次の3つです。
- シンプルなデザイン:割引率やCTAなど必要な情報を簡潔にまとめ、迷わず行動につなげられます。
- ユニークなデザイン:鮮やかな色使いや大きめの商品写真で、セールの楽しさを強調し、ブランドの世界観を印象づけられます。
- テキスト中心のデザイン:手紙風に顧客一人ひとりへ語りかけることで、パーソナルで親近感のある体験を提供できます。
文:Hisato Zukeran





