なぜ一部のウェブサイトやECストアは競合を圧倒し、成功を収められるのでしょうか?優れた商品を魅力的な価格で提供しているのが理由かもしれません。とはいえ、潜在顧客があなたのストアの存在を知らなければ、その価格メリットは伝わりません。ECで成功するには、オンラインでの可視性が不可欠です。つまり、検索エンジン結果ページ(SERP)に表示される必要があります。
GoogleやBingなどの検索エンジンは、主に2種類の結果を返します。有料検索結果(特定の検索クエリに紐づく広告)と、オーガニック検索結果(ウェブ上の関連キーワードを特定し、アルゴリズムで生成される結果)です。
多くの企業が狙うのはオーガニック検索からのトラフィックです。なぜなら、広告費を払わずに検索結果へ表示できるからです。このトラフィックを獲得する第一歩は、潜在顧客が実際に検索しているオーガニックキーワードを調査すること。以下では、SEOのキーワード調査ツールを活用して、オーガニックトラフィックをサイトに呼び込む方法を紹介します。
キーワード調査ツールとは?
キーワード調査ツールは、GoogleやBingといった検索プラットフォームや、Amazonなどのショッピングプラットフォームで頻繁に入力される語句を分析するソフトウェアです。単語やフレーズ(=キーワード)の候補リストを提示し、検索ボリューム(特定期間に検索欄へ入力された回数)も併せて表示します。
提案されたキーワードをウェブサイトの見出しやブログ記事、ECストアの商品ページに組み込むことで、オーガニックの検索結果で上位表示される可能性が高まります。これは検索エンジン最適化(SEO)という、広範なECマーケティング戦略の一部です。
キーワードを調査し、ウェブサイトやECストアに適切に散りばめるには手間がかかりますが、長期的には順位維持のために有料広告へ依存するよりコスト効率が良い場合があります。したがって、キーワード調査はSEOのベストプラクティスの基本要素と言えます。
おすすめの無料キーワード調査ツール6選
SEOマーケティングの予算に応じて、有料のキーワード調査ツールを選ぶことも、まずは無料のツールから始めることもできます。無料ツールは、キーワード調査の入門として優れた選択肢です。以下に、検討したい無料のキーワード調査ツール6選を紹介します。
1. Googleキーワードプランナー
Googleキーワードプランナーは、Google広告のアカウントに付属しています。広告出稿は有料ですが、アカウント自体は無料で作成でき、Googleのキーワードプランナーでリサーチを行えます。特定キーワードの月間検索数や推移を確認でき、フレーズ一致レポートで語順が検索結果に影響するかどうかも把握できます。
2. Googleサーチコンソール
Googleサーチコンソールは、サイトがすでに獲得している検索クエリ、検索パフォーマンスを損なう可能性のある技術的な問題、そしてあなたのサイトへリンクしている外部サイト(被リンク元)を把握するのに役立ちます。
3. Keyword Surfer
Keyword Surfer(英語)は、Surfer SEOが提供するGoogle Chrome拡張機能で、通常のGoogle検索結果に情報を重ねて表示します。用語を検索すると、直近の検索ボリュームや推定クリック単価(CPC)が表示され、特定キーワードに基づくAI生成アウトラインの提案も受けられます。
4. Question DB
Question DB(英語)は、ユーザーが検索する「質問」に焦点を当てている点が、他の多くのキーワード調査ツールとは異なります。GoogleやBingといった主要検索プラットフォームに加え、RedditやQuoraなどのフォーラムからも質問を収集します。無料で利用でき、1回の検索につき最大50件の結果を取得できます。
5. Moz
Moz(英語)は、Semrushのような有料プラットフォームほどデータ量は多くありませんが、キーワード難易度・検索ボリューム・オーガニックCTRに関するユーザーフレンドリーなレポートを提供します。無料プランでは、各ツールにつき月10回までクエリを実行できます。
6. AnswerThePublic
AnswerThePublicは、登録後に毎日3件まで無料でリサーチできるプランを提供しています。主要検索エンジンのオートコンプリートデータを活用し、関連するブログ記事のアイデアを可視化して提示します。
おすすめの有料キーワード調査ツール6選
SEOマーケティング予算が十分にある場合は、有料のキーワード調査ツールが提供する充実した機能を選ぶこともできます。以下では、導入を検討すべき有力候補を6つ紹介します。
1. Semrush
Semrush(英語)は、検索プロファイルを向上させるための適切なキーワードを見つけるのに役立つ機能を備えています。その一つが、ターゲットキーワードを入力すると、その検索ボリューム、ユーザーの意図、キーワードの難易度、長期的なトレンド、クリック単価を一つのダッシュボードから確認できる「Keyword Magic」ツールです。Semrushの有料プランは月額120ドル〜450ドル(約18,000円〜67,500円)です。
2. Ahrefs
Ahrefs(英語)は、短いフレーズ(シードキーワード)を入力すると、関連するキーワードを提案するキーワードエクスプローラー機能を提供します。その提案の中にはシードキーワードもあれば、ロングテールキーワードもあります。Ahrefsの月額プランは99ドル~999ドル(約14,850円〜149,850円)で、年間サブスクリプションには割引があります。
3. Keyword Insights
Keyword Insights(英語)は、EO専門家やコンテンツマーケターがキーワード調査とコンテンツ最適化を行うためのツールです。人工知能を活用して検索用語を分析し、キーワードの意図を理解し、類似キーワードをクラスタリングし、コンテンツ作成の機会を特定するのに役立ちます。主な機能には、キーワード分析、クラスタリング、ウェブコンテンツの最適化提案が含まれます。価格は4日間のトライアルで6000クレジットが1ドル(約150円)から、月299ドル(約44,850円)で10万クレジットです。
4. Surfer SEO
Surfer SEO(英語)は比較的手頃な価格のキーワード調査ツールで、月49ドル(約7,350円)から利用できます。このプラットフォームは、選択したキーワードを使用して「トピッククラスタ」を生成し、記事のアイデアを促進します。さらに、コンテンツエディターツールを組み合わせて、Surferが提案するキーワードやセクション見出しに沿った記事やブログ投稿を書くのをサポートします。
5. SEO Powersuite
SEO Powersuite(英語)プラットフォームは、バックリンク履歴、競合他社のランキング、サイト全体のSEO監査、カスタム生成されたSEOレポートを含むオールインワンのSEOソリューションにキーワード調査を組み込んでいます。有料プランは年間299ドル(約44,850円)からです。
6. Serpstat
Serpstat(英語)は、強力なキーワード調査機能を備えたオールインワンのSEOプラットフォームです。関連キーワードを提案し、さまざまなフレーズのランキングを分析し、競合のキーワードを調査し、キーワードの難易度や季節的なキーワードトレンドを報告し、高パフォーマンスのキーワードを実装するためのコンテンツプランを提供します。月額プランは69ドル~499ドル(約10,350円〜74,850円)で、年間サブスクリプションを前払いすると割引があります。
キーワード調査ツールの種類
インターネットマーケター向けのキーワード調査ツールは、無料ツールと有料ツールの2種類があります。両者の違いは次のとおりです。
無料のキーワード調査ツールは、ビジネスやターゲット層に関連するキーワードを見つける際に料金はかかりませんが、調査できる用語数には多くの場合制限があります。最低限、こうした無料SEOツールは、実際のユーザーの検索内容に基づいてキーワードのアイデアを発見するのに役立ちます。たとえば、無料のGoogleトレンドは、特定キーワードの月間検索ボリュームデータを示し、ストアのトラフィック獲得につながりうる関連キーワードを提案します。
有料のキーワード調査ツールは、キーワードデータや提案の提供に対して料金が発生します。通常は無料ツールより機能が充実しており、たとえばAhrefsでは、プロンプト欄に単語やフレーズを入力して検索を開始でき、そこから関連クエリに紐づく新しいキーワードを自動生成します。このレベルの自動化は、無料ツールでは一般的に提供されていません。
キーワード調査ツールの機能
高品質なキーワード調査ツールは、ウェブサイトやECプラットフォームに関連するキーワードを見つけるための有用な機能を複数提供します。自社に最適なツールを選ぶ際は、以下の点に注目してください。
- キーワード提案。ツールは、高い検索ボリュームを持つ単語やフレーズを提示するキーワードリストを提供すべきです。リストには、あなたの提供する商品・サービスに関心を持つ見込みの高い訪問者を引き寄せる関連キーワードが含まれている必要があります。
- キーワード競争分析。キーワード競争分析ツールは、競合他社のサイトを調査し、検索トラフィック獲得のために狙っているキーワードを可視化できます。得られた示唆をもとに、自サイトへの流入増加につなげられます。
- キーワード難易度。難易度指標は、特定キーワードで検索結果の1ページ目に到達しやすいかどうかを示します。たとえばキャンドルを販売しているEC事業者なら、「キャンドル」のような広義の語は難しくても、「ヒッコリーの香りのキャンドル」のような、より具体的で検索ボリュームが小さい語のほうが勝ちやすい場合があります。
- バックリンクデータ。バックリンクは、他サイトからあなたのページへ向けられたリンクです。権威性の高いサイトからリンクされるほど、Googleなどの検索エンジンはあなたのサイトを信頼できると判断します。優れたツールは、競合のバックリンク情報を提供し、パフォーマンス向上に必要なリンク量の目安を評価するのに役立ちます。
キーワード調査の例
あなたがスポーツウェアのECストアを運営しているとしましょう。コンテンツマーケティングの一環としてフィットネス関連のブログ記事を計画し、最適な低負荷ワークアウトをまとめる投稿を考えているとします。キーワード調査ツールを使えば、「低負荷ワークアウト」が毎月どの程度検索されているかを把握でき、あわせてそのクエリで上位表示されている記事も確認できます。
さらに、「ピラティス」「ダンス」「関節への負担」など、テーマに関連するキーワードを見つけることも可能です。こうした用語を記事に自然に取り入れることで、読者にとって有用性が高まり、検索結果の1ページ目にランクインする可能性が上がります。キーワード調査ツールを賢く活用すれば、より良い記事作成、高い検索順位、クリック増、そして最終的には売上向上へとつながります。
キーワード調査ツールでできること:一般的な使用法4例
適切なキーワードを見つけるのは、適切なツールがなければ難しいです。堅実なキーワード調査ツールは、あなたを助けてくれます:
1. 新しいキーワードを見つける
キーワード調査ツールを使って、特定トピックに関連する語句を広く洗い出します。多くのツールはシードキーワードを入力すると、関連キーワードのリストを生成します。さらに、競合サイトにトラフィックをもたらしているキーワードの抽出にも役立ちます。まずは長い候補リストを作り、ユーザーがあなたのビジネスや関連分野で実際に検索している内容の全体像を把握しましょう。そのうえで、ブランドに合わない語を除外し、関連性の高いキーワードをコンテンツへ組み込みます。
たとえば、あなたがデーツシロップを販売しているとします。「デーツシロップ」で上位表示を狙っていても、次に何をすべきか迷うことがあるかもしれません。そんなときは、ツールで競合に流入をもたらすキーワードを確認します。
そこから有望な語を選び、同じツールでオーディエンスの関心が高そうな関連キーワードをさらに生成します。各用語の月間検索ボリューム(MSV)がわかるので、優先順位づけに役立ちます。たとえば、「デーツシロップ レシピ」のような検索ボリュームの大きいクエリを狙えば、使用アイデアを提示でき、すでにデーツシロップに関心のある購買層の間でブランド認知を高められます。
2. 国際的なSEO戦略を展開する
世界各国で商品を販売している場合は、キーワード調査ツールで国別の検索トレンドを確認できます。得られた情報をもとに、重点地域に関連するキーワードを優先し、SEO戦略を磨き上げましょう。
たとえば、米国のデーツシロップ市場は把握しているものの、海外展開を考えているとします。地域によっては、同じ製品でも表現が異なったり、国ごとの検索ボリュームから関心の高いエリア(需要のポケット)が見つかったりします。
たとえば、キーワード調査ツールが「デーツモラセス」(デーツシロップと同義)が米国より英国で人気だと示すなら、英国向けのマーケティングコピーではその表現を採用するのが有効です。
3. キーワードのギャップを見つける
キーワードギャップ分析とは、競合は上位表示しているのに自社は獲得できていないキーワードを洗い出すことです。こうした機会を活用すれば、狙うべき領域でより効果的にユーザーの関心をつかめます。主要競合のURLをギャップ分析ツールに入力すると、競合には流入をもたらしているのに自社には流れていないキーワード一覧が表示されます。
たとえば、デーツシロップ市場の有力競合が「デーツ甘味料」で検索結果の上位を取っている一方、あなたはその語をターゲットにしていないかもしれません。キーワード調査ツールでこのギャップを特定できれば、「デーツ甘味料」での上位表示を目指してコンテンツを最適化できます。
4. 成功の可能性が最も高いキーワードを優先する
優れたキーワード調査ツールは、競争状況に基づいて算出される「キーワード難易度」を用いた分析を支援します。一般に、検索ボリュームの大きい用語ほど参入サイトが増え競争が激化するため、検索結果の1ページ目に到達する難易度は高くなります。
難易度を考慮すれば、上位表示しやすいキーワードから優先的に取り組めます。まずは自社の専門性に密接に関連する、難易度の低いニッチなキーワードを狙ってドメインの権威性を高め、その後により難しいキーワードへと段階的に拡張していきましょう。
Shopify App Storeのアプリを活用して、オンラインストアの検索エンジン最適化を分析できます。
キーワード調査ツールに関するよくある質問
有料のキーワード調査ツールを使用する必要がありますか、それとも無料のツールで十分ですか?
SemrushやAhrefsなどの有料ツールは強力な機能を備えています。一方で、小規模事業者やEC起業家であれば、GoogleキーワードプランナーやAnswerThePublicといった無料ツールだけでも必要な情報を得られる場合があります。予算が限られているなら、無料ツールでウェブコピーに組み込むキーワードの発見や、新規ブログ記事のアイデア出しには十分です。
キーワード調査ツールは、自社の利益を生むキーワードを見つけるのに役立ちますか?
はい。適切に使えば、キーワード調査ツールは潜在顧客が実際に検索している語句を明らかにしてくれます。さらに、競合サイトにトラフィックをもたらしている単語やフレーズを分析し、それらのキーワードを活用して自社のウェブサイトやECストアをどのように訴求するかを戦略設計するのに役立ちます。
キーワード調査ツールを効果的に使用してウェブサイトのSEOを改善するにはどうすればよいですか?
キーワード調査ツールは、SEOに取り組むための複数の手法を提供します。競合キーワード分析では、競合が狙う語句を調べ、同じキーワードをターゲットにするか、彼らが取りこぼしている検索を見つけるのに役立ちます。
キーワード難易度の指標は、特定キーワードで検索結果の1ページ目に到達する難しさを示します。バックリンクレポートは、流入を生む被リンクのアンカーテキストやリンク先を可視化し、どのコンテンツが最も価値を生んでいるかの洞察を与えてくれます。
キーワード調査ツールとキーワード提案ツールの違いは何ですか?
キーワード提案ツールは、キーワード調査ツールの一種で、まず「シードキーワード」と呼ばれる単語や短いフレーズの入力を促します。ツールはその入力を基に、サイトに掲載・活用できる追加のシードキーワードを提案するほか、より長く具体的な「ロングテールキーワード」も提示します。こうして得られた提案を、キーワード競争分析などの他のキーワード調査機能と組み合わせることで、ウェブサイトへのトラフィックを増やすための複数の有効な材料(アセット)を確保できます。





