ウェブサイトのヘッダーやフッター、サイドバーに表示されるバナー広告は、ブランド認知の拡大や新製品の発売、キャンペーンの告知などで役立ちます。この記事では、バナー広告の概要や料金形態、各メディアに適したサイズなどを紹介します。効果的なバナー広告を作成するための方法もあわせて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
バナー広告とは
バナー広告とは、主にウェブサイトやアプリの広告枠に掲載される、画像や動画を活用した広告です。テキストのみの広告に比べて視覚的にアプローチできることが特徴で、「ディスプレイ広告」とも呼ばれ形式です。「バナー（旗・のぼり）」という名前の通り四角い形状が一般的ですが、近年は長方形や正方形、マウスカーソルが乗ると拡大されるオーバーレイ型、ページの上から下まで続く縦長などさまざまなものがあります。
バナー広告とほかの広告の違い
Web広告には、配信の仕組みや表示の形式によってさまざまな分類があります。
配信方法として代表的なのがリスティング広告です。ユーザーが検索したキーワードと連動して広告が表示されるため、明確な意図をもって検索するユーザーに対して、情報を届けたい場合に活用されます。検索エンジンで表示される広告の場合、形式はテキストが中心となります。
表示の形式としてはほかに、ウェブサイトやアプリの広告枠に配信される画像や動画のディスプレイ広告があります。バナー広告はディスプレイ広告のなかに含まれており、特定のサイズで画像や動画を表示することができます。また、広告を見るユーザーのデバイスや画面サイズに合わせて自動的にサイズやレイアウトが調整されるレスポンシブ広告もあります。レスポンシブ広告は、サイズごとに広告を準備する必要がなくなり便利ですが、規定サイズに収める際に端のほうに記載されているテキストが見切れてしまう場合があるため、注意が必要です。
バナー広告を掲載する方法
バナー広告の掲載方法には、大きく分けてアドネットワークを通じた運用型と、特定のウェブサイトに直接出稿する純広告型の2つがあります。
運用型では、複数のウェブサイトやアプリが参加するネットワークを介して広告を配信します。広告の表示先はシステムが自動で選択し、表示する際のコストを「入札」という形で設定することができます。広告費が成果に連動するため低額でも配信はできますが、入札額が高いほど表示されやすくなるため、競合が多かったり配信ターゲットが広かったりすると、広告コストが上がりやすくなります。
一方、純広告型は、ウェブサイトの所有者と契約して広告枠を一定期間・固定料金で購入する形です。広告費は、表示される回数や成果にかかわらず定額となるため、配信したいターゲットが閲覧しやすいサイトを選ぶことが重要となります。広告主がサイト所有者と直接契約することもできますが、広告代理店を介して広告枠を購入するケースが一般的です。
バナー広告のサイズ
バナーサイズには、米国のインターネット広告協会であるIAB（Interactive Advertising Bureau）が定めた国際標準規格があり、多くの媒体でこの規格が採用されています。代表的なサイズと、どのような媒体で使用できるのかを紹介します。
ウェブサイト向けのバナーサイズ
ウェブサイトやアプリの広告枠に表示されるサイズです。主にGoogle（グーグル）広告やYahoo!（ヤフー）広告で使用されます。
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ビルボード（970×250）：ヘッダーに大きく配置されるケースが多く、動画が使用されることもあります。使用するスペースが広いため、ブランドの認知獲得を目的に利用される場合が多いです。
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リーダーボード（728×90）：正方形のバナー広告よりも目立ちやすい大きなサイズで、ナビゲーションバーの上に配置されることが多いです。
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スーパーリーダーボード（970×90）：リーダーボードの大きなバージョンです。
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スカイスクレーパ（160×600）：パソコン専用の縦長のバナー広告です。広いスペースを使うため視認性が高く、ブランドの認知度を高める目的で使用されます。
スマホ向けのバナーサイズ
スマホ画面で見やすく最適化されたサイズです。
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スマートフォンバナー（300x50または320x50）：スマートフォン専用のサイズで、Google広告やYahoo!広告で使われています。
ウェブサイト・スマホの両方で使えるバナーサイズ
ウェブサイトとスマホの両方で使用できるサイズです。どのサイズのバナー広告を作るべきか悩んだ際は、このサイズから作成を始めると便利です。
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ミディアムレクタングル（300×250）：スマホでもパソコンでも見やすく、ビジネスで最も人気の高いサイズです。サイドメニューの上下に配置したり、記事の下に横並びで2個並べて表示したりするケースもあります。Google広告やYahoo!広告で使用されます。
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ラージレクタングル（336x280）：サイドバーやウェブサイトのメインコンテンツ内に配置すると効果的です。Google広告で使われています。
SNS向けのバナーサイズ
SNSに適したバナーサイズです。プラットフォームごとに推奨されている、あるいは使用されているサイズが異なります。
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スクエア（250×250など）：大小さまざまな広告スペースに使用されているサイズです。Facebook（フェイスブック）広告とInstagram（インスタグラム）広告では1,440×1,440が推奨されています。一方、LINE（ライン）広告では1,080×1,080、X（エックス）広告では800×800が使用されています。
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アスペクト比1.91：1（1,080×566など）：横に長いサイズ比で、視線誘導を活かした広告を作りたい場合に適しています。Instagram広告とFacebook広告では1,080×566、X広告では800x418、LINE広告では1,200×628が使用されています。
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アスペクト比9：16（720×1,280または1,080×1,920）：スマホユーザーに適した縦長のサイズ比で、より視覚的なインパクトを与えたい場合に効果的です。Facebook広告とInstagram広告、TikTok（ティックトック）広告といった主要なSNSで使われています。
バナー広告の料金形態5つ
1. インプレッション課金
インプレッション課金は、広告が表示された回数に応じて料金が発生する仕組みです。多くの場合、広告が1,000回表示されるごとに課金される方式で、相場は10〜500円程度と低めです。ターゲット層を限定せずに、より多くのユーザーに表示されるようになるため、商品やブランドの認知を広げたい場合に適した課金方式です。
2. クリック課金
クリック課金は、ユーザーが広告をクリックした回数に応じて料金が発生する方式です。1クリックあたりの費用（CPC）の相場は50〜1,500円程度と幅がありますが、費用が発生するのは行動が起きたときのみなので、費用対効果を測りやすいのが特徴です。
3. アクション課金
アクション課金は、ユーザーが購入や会員登録といった成果に至ったときに費用が発生する仕組みで、アフィリエイトなどで使用されています。成果につながってから課金されるためほかの方式より単価が高く、相場は2,000〜30,000円とされています。
4. 視聴課金
視聴課金は、動画広告が再生されたときに費用が発生する方式です。動画が30秒以上再生された時点や最後まで視聴された時点など、媒体によって視聴とみなされる条件が異なります。1視聴あたりのコスト（CPV）相場は3〜150円と比較的低く、小規模事業者でも始めやすい点が特徴です。
5. リード課金
リード課金は、ユーザーがメルマガ登録やSNSアカウントのフォローといった特定のアクションを行った際に料金が発生する仕組みです。1アクションの獲得ごとにかかる費用相場は、1,000〜10,000円程度です。
バナー広告の作り方
1. 目的を明確にする
商品の販売促進やブランド認知度の向上、新製品の発表、イベントの告知など、バナー広告を作る目的を設定します。広告をクリックしたユーザーに、どういったアクションをとってもらいたいかも明確にしておきましょう。
2. ターゲットを決める
目的に合わせて、年齢や性別、地域、興味、行動パターンなど、さまざまな要素を考慮してターゲットを決めます。ターゲットを明確にすることで、広告のメッセージやデザインを効果的に調整できるようになります。
3. 掲載場所を決める
GoogleやYahoo!などの検索エンジンなのか、InstagramやTikTokなどのSNSなのか、広告の掲載場所を決めましょう。媒体を選んだあとは、それぞれの掲載場所で求められるサイズや拡張子などの規定を確認します。
4. バナー画像の作成ツールを選ぶ
バナー広告として掲載する画像を作成するための、ツールを選択します。代表的な作成ツールとその特徴は、下記のとおりです。
- Canva（キャンバ）：61万を超えるテンプレートと、1億点を超える素材を使用して、ブラウザで簡単にデザインできる。無料。
- Adobe Express（アドビエクスプレス）：豊富なテンプレートと素材を使用して、ブラウザで簡単にデザインできる。写真の背景削除機能がある。無料。
- Google Web Designer（グーグルウェブデザイナー）：ダウンロードアプリ。アニメーションも作成可能。無料。
- Inkscape（インクスケープ）：ダウンロードアプリ。サイズの拡大縮小ができるベクター形式のイラスト描画ツール。無料。
- Adobe Illustrator（アドビイラストレーター）：プロ仕様のイラスト作成ソフト。月額換算3,280円（年間プラン）。
- Adobe Photoshop（アドビフォトショップ）：プロ仕様の写真編集ソフト。月額換算3,280円（年間プラン）。
5. バナー広告に含める要素をすべて書き出す
バナー広告はスペースが限られているため、情報が多すぎると全体がごちゃついて見えてしまいます。何をメインにした画像にするか、どんなテキストを載せるか、盛り込む情報をきちんと吟味することが必要です。たとえば新製品の広告であれば、次のような要素を含めるとよいでしょう。
6. トンマナを決める
色調やフォント、スタイルといった「トンマナ（トーン＆マナー）」を決定します。その際、インパクト重視でシンプルにみせるのか、情報を細かく伝えるのかなどを目的やターゲット、掲載場所などを踏まえて考えましょう。
7. キャッチコピーを書く
トンマナに合わせてキャッチコピーを考えましょう。短い言葉でターゲットの関心を引くには、ユニークな表現や魅力的な情報を盛り込むことが大切です。
アイデアが浮かばないときは、Shopify（ショッピファイ）が提供している無料のスローガン自動生成ツールを活用してみてください。商品名やキーワードを入力すると複数のキャッチコピー候補が自動で表示されるため、アイディアを広げるきっかけとなるでしょう。
8. ビジュアルを作成する
書き出した要素を配置し、ユーザーの興味を引くビジュアルを作成します。ビジュアルを作成する際に押さえるべきポイントは、次のとおりです。
- 広告媒体に即したサイズや拡張子を使用する
- 粒度が同じ情報をまとめて配置する
- 余白のとりかたを統一する
- 情報の優先度によって大きさを変える
- 統一感をもたせる
- 色を揃える
ビジュアルを作成する際、下記サイトに掲載されているバナー広告のデザイン例を参考にするとよいでしょう。
- Retrobanner（レトロバナー）：13,000点以上のバナーを収録。サイズや色、業種、テイストからバナーを検索可能。
- バナーデザインアーカイブ：2,000種類以上のバナーをアーカイブ化。サイズとカラー、業種でバナーのデザイン事例を検索可能。
- Meta広告ライブラリ：InstagramやThreads（スレッズ）といったMeta社が運営するプラットフォームの広告を閲覧できるサービス。
バナー広告の効果を改善する3つの方法
1. A/Bテストを実施する
バナー広告を改善する際は、一部のみを差し替え、どちらがよりよい効果があるのかを検証するA/Bテストが有効です。比較する際はテキストや画像、色といった複数の要素を一度に変えるのではなく、ひとつに絞ることが大切です。変更箇所を絞ることで、どの要素が結果に結びついたのかが判断しやすくなります。また、実施期間や条件を設定し、データの偏りを防ぐ工夫も必要です。
2. 配信する広告数を減らす
バナー広告を多数配信しているのであれば、状況に応じて数を絞ってみる方法が効果的です。必要以上に作ってしまうと各広告の表示機会が少なくなり、どの広告が効果的だったのかを判断しづらくなります。その結果、広告の成果を判断するまでに時間がかかることがあります。実際、Meta社でも広告数が多すぎる場合は、パフォーマンスが低下する可能性があると説明しています。
3. 数字や解決策を目立たせる
バナー広告の成約率を改善したい場合は、具体的な実績を示す数字やターゲットの悩みに対する解決策を強調すると、訴求力を高めることができます。たとえば「導入企業数1,000社」や「ユーザー満足度98％」といった数値を目立つ位置に配置すれば、商品やサービスを信頼してもらいやすくなります。また、ユーザーが抱えている課題に対して自社の商品やサービスがどのように役立つかを簡潔に示すコピーも効果的です。
まとめ
バナー広告では、掲載する媒体に応じた適切なサイズやデザインを踏まえた広告を作成することが重要です。広告料金はインプレッションやクリックなどの数に応じて課金される形式のため、それぞれの特徴を理解したうえで適切なものを選びましょう。A/Bテストや実績の訴求などを通じて改善することで、成果を高めやすくなります。
インターネット上のさまざまな場所に掲載できるバナー広告は、多くの人にPRするのに効果的です。ネットショップへの集客方法を模索している方は、ぜひバナー広告の活用を検討してみてください。
バナー広告に関するよくある質問
バナー広告とディスプレイ広告の違いとは？
バナー広告とディスプレイ広告の違いは、その定義にあります。バナー広告は、ウェブページの上部やサイドに表示される画像や動画を活用した広告です。一方、ディスプレイ広告はより広い概念で、ウェブサイトやアプリ上に表示される広告すべてを指します。つまり、バナー広告はディスプレイ広告の一部です。
バナー広告のメリットは？
- 画像や動画を使って情報を届けられる
- 写真やイラストを使うため記憶に残りやすい
- クリックされなくても広告が表示される
- 短期間で多くのユーザーに告知できる
- 見込み顧客にも訴求できる
- ブランディング効果がある
バナー広告のデメリットは？
- クリック率や成約率が低くなることがある
- デザインや構成の作成に時間と費用がかかる
- 広告の質によって成果が左右されやすい
- 効果測定のために設定や確認作業が必要となる
- 効果が出るまでに検証や改善を繰り返す必要がある
文：Yukihiro Kawata
