大規模なチームの業務効率化や、個人や小規模事業者の生産性向上を目指すうえで、タスク管理アプリの導入は大いに役立ちます。テレワークでのメンバー連携やタイムマネジメントにも有効で、現にタスク管理アプリ導入で生産性を向上させた事例も増えています。
しかし、タスク管理の方法は、ビジネスモデルや事業規模、企業や個々人の性質、作業の進め方によってさまざまです。そのため、利用すべきツールもそれぞれ異なり、数あるタスク管理アプリの中からどれを選べばいいのか迷ってしまい、導入できていない方もいるのではないでしょうか。
この記事では、タスク管理アプリを用いるメリットとともに、おすすめのタスク管理アプリと選び方について解説します。ワークライフバランスの改善や業務効率化を目指す方はぜひ参考にしてください。
タスク管理アプリのメリット

タスク管理を利用するメリットは、以下のようなものがあります。
- 生産性の向上:1日のスケジュールを見える化でき、やるべきことを明確にしたり、無駄な作業を省いたりできる。
- 締め切り忘れのリスク軽減:リマインダー機能を用いることで、期限を忘れるリスクを軽減できる。
- チーム内での連携がスムーズ:複数人でスケジュールの共有ができたり、タスクの割り当てができたりする。さらにコメント機能を用いればタスクごとで必要な情報の共有が可能。
- 透明性を高める:メンバーごとの業務予定や、業務の進捗をリアルタイムで可視化できる。
- 利便性の向上:タスク管理アプリによっては、パソコン、スマホ、その他タブレットを含めさまざまな端末からログインできる。
無料で使えるタスク管理アプリのおすすめ9選
1. Trello(トレロ)
Trello(トレロ)はオーストラリアのAtlassian(アトラシアン)社が運営するタスク管理アプリで、世界の約460万人が利用しています。主な特徴は以下のとおりです。
- カンバン方式(タスクをセクションに分けて表示する方式)でタスクを管理する
- 日本語や英語を含め複数の言語に対応している
- マルチデバイス対応
- タスク全体を示す「ボード」、タスクの作業工程を表す「リスト」、個別のタスクを示す「カード」という3つの要素で管理できる
- ドラッグ&ドロップで直感的な操作ができる
- カードには期限、チェックリスト、添付ファイル、コメントを残すことができる
- Google Drive(グーグルドライブ)やSlack(スラック)、メールなどさまざまな外部ツールとの連携も可能
料金は無料プラン含めて4つのプランが設けられています。無料プランの場合はボードの作成数と添付ファイルの要領に上限があり、個人の進捗管理向けといえるでしょう。チームの進捗管理でTrelloを利用する場合は、有料プランがおすすめです。
2. Todoist(トゥドゥイスト)
Todoist(トゥドゥイスト)は、ポルトガルのDoist(ドゥイスト)社が運営するタスク管理アプリで、世界の約5,000万人が利用しています(2025年10月時点)。主な特徴は以下のとおりです。
- リスト方式とカンバン方式の2タイプでタスク管理できる
- 80を超える外部ツールとの連携が可能で、Apple Watch(アップルウォッチ)を用いれば音声操作でタスク作成・管理できる
- Googleカレンダーと連携すれば、タスクとスケジュールを一元管理できる
- プロジェクト用と個人用で分類したタスク管理が可能
- 「マーケティング&営業」「開発」「デザイン&プロダクト」など、業務ごとでテンプレートが設けられている
- AIアシスタント機能を用いれば、大きなタスクを細分化できたり、タスクの進め方を提案してもらったりすることができる(有料)
- マルチデバイス対応で、直感的な操作が可能
- フィルター機能を活用すると、条件に合うタスクを素早く抽出できる
料金は無料プラン含めて3つのプランが設けられています。チームで利用する場合は、チーム単位でのワークスペースなどが設定できるビジネスプラン(6ドル/月)がおすすめです。
3. Asana(アサナ)
Asana(アサナ)は、アメリカのAsana社が手掛けるタスク管理アプリで、Amazonや富士通、スズキなど国内外で約17万の顧客に用いられています。主な特徴は以下のとおりです。
- 300以上の外部ツールとの連携が可能
- 条件に応じてタスクの担当者変更や期日設定を自動で行う「ルール」機能で自動化が可能
- タスクやコメントの要約、文章改善、ワークフローの作成はじめ、AIを活用したさまざまな機能がある(有料)
- 進行状況や成果を計測したり調べたりできるレポート作成機能がある
- 無料プランでは「リスト」「ボード」「カレンダー」の3種類でタスク管理できる。有料プランでさらに「タイムライン(ガントチャート形式)」「ゴール」「ポートフォリオ」も利用できる
料金は無料プラン含めて5つのプランが設けられています。無料プランの場合でも、個人や少人数でタスク管理を実施するための機能が十分備わっています。
4. Google ToDo(グーグルトゥドゥ)リスト
Google ToDo(グーグルトゥドゥ)リストは、Googleが提供するタスク管理アプリです。具体的な特徴は以下のようなものがあります。
- 複数のTodoリスト作成が可能
- 定期タスクの作成や、タスクごとにメモの追加ができる
- マルチデバイス対応
- 期限設定と通知機能でタスクの進捗を管理が可能
- Gmail、Googleカレンダーなど、他のGoogleサービスでもタスクを使用できる
Google Assistant(グーグルアシスタント)を用いて音声でのタスク作成ができたり、Google Chat(グーグルチャット)やGoogle Docs(グーグルドキュメント)などビジネス向けのツールとも連携できたりします。Googleアカウントがあれば無料で利用できるため、費用を抑えてGoogleの他サービスとのシームレスな連携ができる点が強みと言えるでしょう。
5. Microsoft To Do(マイクロソフトトゥドゥ)
Microsoft To Do(マイクロソフトトゥドゥ)は、Microsoft社が提供するタスク管理アプリです。主な特徴は以下のとおりです。
- 複数のリスト・タスク作成が可能
- 期限日設定、繰り返し機能がある
- 「重要」設定で重要なタスクを分類できる
- Outlookと連携可能で、メールにフラグをつければタスク変換され、自動的にTo Doへ追加される
- マルチデバイス対応
基本機能は無料で利用することができます。マイクロソフト365をサブスクリプション登録している場合は、広告なしにできるだけでなく、Teams(チームス)内でのTasks(タスクス)アプリ統合ができる機能が追加されます。
Microsoft製品を日常的に使用している人は、Microsoft To Doを活用するのが効率的です。シンプルさを重視した設計になっているため、日々の個人タスクや小規模業務の管理に向いています。
6. TickTick(ティックティック)
TickTick(ティックティック)は、アメリカのAppest(アッペスト)社が運営するタスク管理アプリです。主な特徴は以下のとおりです。
- ドラッグ&ドロップで直感的な操作ができる
- マルチデバイス対応
- ポモドーロ機能で、25分間隔でタスク管理ができる
- ストリーク機能でタスクの連続完了日数が確認できたり、タスクの総計や作業時間の合計が可視化できたりするため習慣化に役立つ
- 検索機能や、フィルター機能でタスクの抽出が簡単(フィルター機能は有料)
- 重要度と緊急度をもとにタスクを4つに分けることができる
- タスクにファイル添付できたり、自由形式でメモを残せたりする
- タスク表示のウィジェット機能が多彩で、優先度などに応じてタスクを自動で並べ替えられる
- Gmail、Slack、Outlookなどの外部ツールと連携可能
料金は無料プランと有料プラン(3ドル/月)の2種類です。有料プランにすることでリスト数や添付ファイル容量の上限が緩和されるため、チーム単位で管理する場合は有料プランを検討しましょう。
7. Lifebear(ライフベア)
Lifebear(ライフベア)は、株式会社ライフベアが運営するタスク管理アプリで、カレンダー・ToDo・ノート・日記をまとめて管理できます。主な特徴は以下のとおりです。
- マルチデバイス対応
- タスクに画像添付やメモの記載が可能
- 2,000個を超えるスタンプを使って、カレンダーの管理ができる
- カテゴリーごとにフォントの色を設定可能で、時間単位の予定は文字色が、終日の予定は文字の背景色が指定できる
- 星マークをつけて優先したいリストを分類できる
- リマインダー機能が搭載されている
- ウィジェットは、月・週表・予定リスト・ToDoリストから好きな形式を選べる
- Googleカレンダーと同期可能
料金は無料プラン含めて3種類あります。プレミアムプラン(600円/月)では、Todoリストや予定テンプレートの作成が無制限になります。
8. Notion(ノーション)
Notion(ノーション)は、Notion Labs Japan(ノーションラボズジャパン)合同会社が運営するタスク管理ツールで、2024年7月時点で世界のユーザー数は1億人を超えています。主な特徴は以下のとおりです。
- 作成したタスクに関連するファイルやリンク、メモを追加できる
- タスク管理とドキュメント、会議ノートなどを統合でき、情報の一元化もできる
- 同じデータをリスト表示・カンバン表示・カレンダー表示などさまざまなビューで表示可能
- データベースに対してラベルやステータス、チェックボックスなどの項目を自由に設定でき、カスタマイズ性が高い
- GoogleカレンダーやSlackなどの外部ツールと連携可能
料金は無料プラン含めて4種類あります。個人でタスク管理する場合は無料プランでも十分ですが、チームで管理する場合は共同作業の制限などがない有料プランの利用が最適です。
9. Any.do(エニードゥ)
Any.do(エニードゥ)は、アメリカのAny.do社が運営するタスク管理アプリで、世界中で約4,000万人が利用しています。主な特徴は以下のとおりです。
- マルチデバイス対応
- Siri(シリ)やAmazon Alexa(アマゾンアレクサ)などの音声サービスでタスク作成ができる
- 6,000を超える外部ツールと連携可能
- 同じデータをリスト表示・カンバン表示・カレンダー表示などさまざまなビューで表示可能
- リマインダー機能が搭載されている
- タスク共有が可能
- チーム内でチャット機能を利用できる(有料)
- カテゴリーや優先度によって文字や背景色を変えてタスク管理できる(有料)
- 位置情報を利用したリマインダー機能も搭載されている(有料)
料金は無料プラン含めて4種類あります。個人で利用する場合は、無料プランで問題ないでしょう。有料プランで契約すれば、AI機能やチャット機能など、チームでタスク管理するうえで便利な機能が利用できるようになります。
タスク管理アプリを選ぶ際のチェックポイント

課題と利用目的
まずはタスク管理で発生している課題と利用目的を明確にしましょう。タスク管理を利用するに至る目的は、主に以下のようなものがあります。
- 個人の日々のTo-Doを整理したい
- 複数人でプロジェクト管理をしたい
- クライアントとのやり取りも含めてタスクを見える化したい
課題と利用目的を明確にすれば、必要な機能と不要な機能が把握できるようになり、数あるタスク管理ツールの中からどれを導入すればよいか方向性が見えてきます。
チームの規模
個人なのかチームなのか、チームの場合は何名で構成されるかなどを踏まえてタスク管理アプリを選定しましょう。チームでタスク管理アプリを用いる場合は、メンバーごとでの予定の把握やタスクの振り分けなどができる共有機能が欠かせません。また、タスクの進捗具合をレポート化するような機能を備えたタスク管理ツールを使うことで、スケジュールや人員配置などを調整しやすくなります。
予算
予算を踏まえて最適なタスク管理アプリを選ぶことも重要です。
無料プランの多くは利用できる機能に制限がある反面、シンプルで使いやすいこともあります。有料版の場合は作業の生産性を高めるためのさまざまなオプションを導入することができますが、ツールに詳しい管理者でない場合は、機能を把握しきれずにかえって使いづらく感じる可能性があります。
ツールによってはトライアル期間を設けているケースがあるため、数日間無料で利用してみて、費用と使い勝手のバランスを確認しましょう。
マルチデバイス対応
スマートフォンやパソコンなど、さまざまなデバイスに対応していれば、移動中やテレワーク中でもタスク管理できます。単純に複数のデバイスに対応しているだけではなく、それぞれの異なる画面サイズでも見やすく使いやすい形で画面が最適化される「レスポンシブルデザイン」が搭載されているかも確認しましょう。
他ツールとの連携
日々利用しているツールとの連携がとれるタスク管理アプリであれば、より業務の効率性をあげることができます。またタスク管理アプリで賄いきれない機能を外部ツールとの連携で補うことができるケースもあります。
デザインと操作性
デザインや操作性で負担がかからないUX設計のタスク管理アプリを用いることも重要です。シンプルで直感的な操作ができる方がいいか、またカスタマイズ性が高いアプリを利用すべきかで、導入すべきタスク管理アプリは大きく異なります。
まとめ
規模の大きな企業でもスモールビジネスでも、チームの連携強化や業務の効率化など、タスク管理アプリを活用するメリットにはさまざまなものがあります。
しかし、シンプルさを追求したGoogle ToDoリストや、大規模なチームでも対応できる機能を搭載するAsana、カスタマイズ性に優れたNotionなど、タスク管理アプリごとに特徴や機能性は異なります。そのため各ツールの機能面を比較することに加えて、そもそも仕事を進めるうえでどんな課題を抱えていて、どんな目的でタスク管理アプリを利用したいかを分析することも重要です。
普段使っているツールとの連携が可能か、またデザイン・操作性なども加味して最適なタスク管理アプリを見つけ出しましょう。
よくある質問
タスク管理アプリとは?
タスク管理アプリとは、日々のやるべきことを整理・記録し、それぞれの進捗を管理するためのツールです。
タスク管理アプリを用いるメリットは?
- 生産性の向上
- 締め切り忘れのリスク軽減
- チーム内での連携がスムーズ
- 透明性を高める
- 利便性の向上
スマホで使えるタスク管理アプリは?
- Trello
- Todoist
- Asana
- Google ToDo リスト
- Microsoft To Do
- TickTick
- Lifebear
- Any.do
タスク管理アプリの選び方は?
- 課題と利用目的に合ったものを選ぶ
- チームの規模に合ったものを選ぶ
- 予算と使い勝手のバランスを確かめる
- マルチデバイス対応かどうかを確かめる
- 他ツールと連携できるものを選ぶ
- デザインと操作性が自社に合ったものを選ぶ
文:Ryutaro Yamauchi





