日本政府による起業支援の強化や、副業を認める企業の増加により、アントレプレナーを目指す人が増えています。一方で、起業に関する情報が見つけられない、不安や孤独を感じてしまうといった課題を抱える人も少なくありません。
こうした背景から注目されているのが、起業家コミュニティです。同じ志を持つ仲間とつながり、実践的な知識や経験を共有し合える環境は、これからの起業に欠かせない存在になっています。
本記事では、起業家コミュニティとは何か、その作り方や参加方法、そしてコミュニティを活用するメリットについて詳しく解説していきます。

起業家コミュニティとは
起業家コミュニティとは、すでに事業を立ち上げている起業家や起業を目指す人が集まり、情報交換したり知見や課題を共有したりして交流する場のことです。
参加者は、経営者から個人事業主、フリーランス、起業準備中の人まで幅広く、活動形態も、オフラインでの勉強会・交流会から、SNSやチャットツールを活用したオンラインコミュニティまで多岐にわたります。

起業家コミュニティのメリット
有益な情報を得られる
起業家コミュニティには多様な視点や経験を持つ参加者が集まるため、事業の立ち上げや拡大に役立つ情報など、自分だけでは集められなかった情報を得られます。
特に起業初期は、時間や人手といったリソースが限られているだけでなく、業界や経営者としての経験の浅さから必要な情報を見つけられないことも多いですが、起業家コミュニティに参加することで効率的に情報収集できます。
人脈ができる
起業家コミュニティには多様な業種のビジネスオーナーが集まるため、普段のビジネスでは得られない人脈が形成できます。
異なる業態の起業家や経営者と交流することで、新規事業のアイデアを得たり、将来のビジネスパートナーや協業相手を見つけたりできる可能性があります。
また、多様な意見に触れ、自分の知識や価値観を継続的にアップデートしていけるでしょう。
相談相手が見つかる
起業家コミュニティでは、すでに起業経験を持つメンバーから、精神面・ビジネス面の両方で助言やサポートを受けられる可能性があります。
メンターに出会うことができれば、実体験に基づくアドバイスを得られるため、より質の高い意思決定ができるようになり、事業立ち上げの推進にもつながります。
すでに起業している場合でも、行き詰まりを解消するためのヒントやサポートが得られるでしょう。
モチベーションを維持できる
起業家コミュニティには、起業家精神を持つ参加者が集まるため、似たような目標を持つ人と交流することで事業への意欲を維持し高めることができます。
特に起業初期は、思うように進まずモチベーションが低下したり、挫折しそうになったりすることも少なくありません。こうした時期は起業家のメンタルヘルスが揺らぎやすくなりますが、同じ立場の仲間と交流することで、心理的な安定やモチベーションの維持につながるでしょう。
起業家コミュニティを作る方法
起業関連のイベントやセミナーに参加する
起業家コミュニティを作る方法として、日経イベント&セミナーなどで起業関連のセミナーを探して参加することが挙げられます。こうした場には起業を目指す人や経営者が集まるため、出会いをきっかけに継続的な交流が生まれ、そこからコミュニティへと発展する可能性があります。
たとえば、セミナーで出会った同じ課題を抱える起業家同士で集まり、少人数で勉強会を開催することから始め、少しずつ外部にも告知して人数を増やしていくことで、同じ目的意識を持ったコミュニティに発展させられます。オンラインであれば、地域に縛られずメンバーを集められます。
SNSを活用する
起業家コミュニティを形成する手段として、SNSを活用する方法も有効です。SNSは地域を超えて世界中の起業家や専門家とつながることができるため、効率的にネットワークを拡大してコミュニティのメンバーを募れます。
特にLinkedIn(リンクトイン)はビジネスネットワーク構築に特化しており、専門家や経営者とつながりやすいプラットフォームです。また、Facebookグループを活用すれば、起業をテーマにしたオンラインコミュニティを簡単に立ち上げられます。
さらに、Instagramで起業に関する情報発信を継続したり、ハッシュタグを設定したりすることで、同じ関心を持つフォロワーが集まりやすくなり、コミュニティ形成につながります。
サービスオフィスを活用する
起業家コミュニティを形成する方法として、レンタルオフィスやシェアオフィスの活用が挙げられます。多様なバックグラウンドを持つ利用者が集まるため、休憩スペースや共有エリアでは自然に交流が生まれる可能性があります。
なかでも、コラボレーションやコミュニティ形成に積極的なリージャスのようなコワーキングスペースは、利用者同士の交流を促す仕組みが整っている傾向があります。また、起業に役立つ資金調達セミナーなどを定期的に開催している施設もあり、参加者同士のつながりを深めるきっかけになります。

起業家コミュニティに参加する際のポイント
起業ステージに合ったコミュニティに参加する
起業家コミュニティに参加する際は、メンバーの事業フェーズが自分と合っているかを確認しましょう。起業前であれば、創業間もない起業家が集まる場が最も学びを得やすい環境です。たとえば、Startup Hub Tokyo(スタートアップハブトーキョー)は起業を考えている人に特化した施設で、コミュニティに参加できるだけでなく個別相談などさまざまなサポートが受けられます。
また、資金調達を検討している段階であれば、調達経験者や投資家が参加するコミュニティを選ぶことで、より実践的な情報が期待できます。
業界相性の良いコミュニティに参加する
自社と補完関係にある業界や、ビジネスモデルが近い異業種の経営者がバランスよく集まるコミュニティを選ぶのも起業家コミュニティに参加する方法の一つです。
EC事業を営んでいるのであれば、マーケティング、商品開発、システム開発など周辺領域の経営者が参加するコミュニティに参加することで、日々の課題解決に役立つ情報やヒントを得られるでしょう。たとえば、エンジニアに特化したコミュニティは、connpass(コンパス)で探せます。
性別や年代に合ったコミュニティに参加する
起業家コミュニティに参加する際は、性別や年代が自分に近い参加者がいるかどうかを確認することが大切です。これは話しやすさや安心感に直結するためです。
たとえば、子育てと両立しながら起業している女性が多い起業家コミュニティであれば、ライフステージに沿った悩みや工夫を共有しやすくなります。
また、若手起業家が多いコミュニティを選べば、勢いのあるアイデアや新しい価値観に触れられるでしょう。
意見交換が活発なコミュニティに参加する
活発な意見交換は、新たな事業アイデアにつながることがあります。そのため、上下関係がなく、メンバー同士が対等に交流できるコミュニティを選ぶことが大切です。加入後のミスマッチを避けるためにも、事前にコミュニティの雰囲気を確認しておきましょう。
コストと内容のバランスで選ぶ
起業家コミュニティには、無料のものから月額会費が発生するものまで幅があります。人脈作りやスキルアップなど、自分の目的と照らし合わせてコストパフォーマンスが合っているかを見極めましょう。
起業直後は収入が不安定になりやすいため、生活を圧迫するほどの費用がかかるコミュニティは避けたほうが安心です。一方、有料の起業家コミュニティは、意識の高い参加者が集まりやすく、運営資金がある分、起業支援や相談などのサポートが手厚い傾向があります。

おすすめの起業家コミュニティ
Founder's Circle
Founder's Circle(ファウンダーズサークル)は、30代以下の若手起業家のアイデア支援に特化したコミュニティです。
学校や職場で起業仲間に出会う機会が少ない人に向けて、セミナーやイベントを通じて実践的な学びと交流の場を提供しています。
また、Slack(スラック)などのオンラインツールを活用し、継続的な関係構築を支援しています。
パッションリーダーズ
パッションリーダーズは、上場企業の経営者や各業界の第一線で活躍するリーダー、そして駆け出しの起業家が集い、体験やノウハウを共有しながらお互いを高め合うコミュニティです。
メンバーは、経営者が登壇する定例セミナーや、起業に欠かせない知識・スキル・アクションを学べるコンテンツをオンラインで視聴できます。また、グルメ、アウトドア、ゴルフなど、多彩なアクティビティにも参加できるため、ビジネスを超えた交流も広がるでしょう。
女性社長.net
女性社長.netは、20代〜50代の現役女性経営者に特化したネットワークです。
会員情報をデータベース化した「女性社長一覧」を閲覧できるほか、イベント、セミナーを通じて、女性経営者のネットワーク作りのサポートや意見交換の場を提供しています。
また、女性ならではの課題や悩みを安心して共有できる環境が整っており、女性経営者・個人事業主の事業継続を支える仕組みも充実しています。
まとめ
起業したり事業を運営したりするうえで生じる悩みや課題は、同じような経験を持つ仲間でなければ理解しにくいものです。自分の状況に合ったコミュニティに参加することで、情報収集や人脈作り、起業のモチベーション維持といったメリットが期待できます。また、起業家コミュニティを自ら作ることは、事業立ち上げに有益なネットワークを築くうえでも有効です。
自分に合ったコミュニティに参加するためには、自社の事業ステージや現在の課題を把握し、それに適した場を見極めることが重要です。
起業家コミュニティは、孤独になりがちな起業プロセスを支え、事業成長にも寄与します。
目的に合ったコミュニティを上手に活用しながら、起業の一歩を着実に進めていきましょう。
起業家コミュニティに関するよくある質問
起業家コミュニティが重要な理由は?
起業家コミュニティは、孤独を和らげ、アイデアを相談できる場を提供し、顧客・専門家・メンターなど成功に必要な人とのつながりを保つために大切です。
コワーキングスペースからの起業事例は?
Uber(ウーバー)は、サンフランシスコのテック系コワーキングスペースRocketSpace(ロケットスペース)を拠点に活動していたトラビス・カラニックとギャレット・キャンプを含む8名のチームにより設立されました。
起業家コミュニティの参加率は?
東京都内のスタートアップ経営者のうち、4割以上が経営者コミュニティに参加した経験があるというデータがあります。
起業家コミュニティとブランドファンのコミュニティの違いは?
起業家コミュニティは、ビジネスの立ち上げや成長に必要なサポート、フィードバック、アイデアを互いに提供し合う仲間や経営者が集まる場です。
一方、ブランドファンのコミュニティは、特定のブランドに対する共通の価値観や愛着を軸に集まったファン同士が交流し、ブランド体験を共有し深め合う場です。
ブランドのコミュニティを立ち上げるポイントは?
- ブランドのビジョンや価値観を共有する
- 一貫性を持ち、ブランドらしさを保つ
- 既存のコミュニティを活用する
- 適切な媒体を選ぶ
- リアルタイムの対話の機会を持つ
- 親しみやすいものにする
- コミュニティのアイデンティティとニーズを理解する
- コミュニティを中心にビジネスを構築する
- ファンや他ブランドと積極的にコラボレーションする
文:Takako Kasai





