ビジネスを立ち上げたばかりの中小企業や個人事業主は、ECサイト運営に必要な業務を全て自ら行わなければならない場合がほとんどです。注文の確認から問い合わせ対応、メールの返信など、カスタマーサービス業務は幅広く、対応に時間がかかってしまうケースも少なくありません。
eコマースサイトの成長とともに、注文処理だけでなく問い合わせ対応などの顧客対応業務は増加します。顧客対応に追われることで、メールマーケティングやSNSマーケティングにリソースを割けなくなり、更なる成長のチャンスを逃すことにもなりかねません。特に、顧客対応に費やす時間がブランド構築やマーケティングに費やす時間を上回っている場合、カスタマーサポート代行を検討する時期に来ていると言えるでしょう。カスタマーサポート代行を外注することで、顧客からの問い合わせに迅速に対応し、より質の高い顧客体験を提供することができるようになります。
この記事では、カスタマーサポート代行の料金相場や依頼時の注意点、選び方について解説します。カスタマーサポート代行の導入を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
カスタマーサポートサービス代行とは

カスタマーサポートサービス代行(CS代行)とは、自社の代わりに顧客対応業務を請け負う外注サービスのことです。カスタマーサポートサービス代行は主に以下の2種類に大別されます。
- 常駐型:代行会社のスタッフが自社に常駐し、顧客対応業務を請け負う
- 受託型:代行会社が運営するコールセンターなどで顧客対応業務を行う
カスタマーサポートサービスはカスタマーサポートサービス代行を活用すると、以下のようなメリットが得られます。
- 業務負担の軽減:顧客対応を代行業者に外注することで業務負担が軽減され、コア業務に集中できるようになる
- コスト削減:従業員の教育コストや、顧客対応に必要となる通信機器や顧客管理システムのコスト削減が可能となる
- 顧客対応品質の向上:経験者や研修を受けたスタッフによる高品質な顧客対応が実現できる
- 営業時間外の対応:より多くの顧客に対応できるよう、営業時間外のカスタマーサポートサービスも提供できるようになる
- 顧客満足度向上:顧客対応の品質向上や、営業時間外の対応により、円滑な疑問解消や問題解決ができ、顧客満足度向上につながる
代行業者を活用することにより、個人事業主がECサイトを運営している場合や、人員が限られている事業者でも、人的リソースをマーケティングや商品開発などのコア業務に集中させることができるようになります。
一方で、外注することにより以下のようなデメリットもあることに留意が必要です。
- 自社にカスタマーサポートのノウハウが蓄積されにくい
- 代行会社との連携や進捗確認など、管理の手間がかかる
- 顧客の個人情報を扱うことから、情報漏洩のリスクを伴う
カスタマーサポートサービス代行の業務内容

顧客対応
電話やメール、ライブチャットサポート、ウェブサイトのお問い合わせフォーム、SNSからのメッセージなど、さまざまなチャネルからの連絡に対応します。対応する内容は主に以下のものがあります。
事務作業
カスタマーサポートサービスに付随する以下の事務作業も代行会社が行います。
- 顧客情報管理
- 受発注業務
- 商品の配送状況確認
- 支払い処理、入金の確認
- 問い合わせ内容のデータベースへの入力
- ウェブサイトへの「よくある質問」の更新
- マニュアルや規約などの改善点のリストアップと更新
データ分析
問い合わせ件数やその内容、対応時間、問い合わせに対する顧客の満足度などの情報を分析してくれる代行会社もあります。直接顧客とのやり取りが発生しない分、これらのデータ分析の結果は事業主にとって重要なフィードバックとなります。商品やウェブサイト、発送対応などの改善点を洗い出せるだけでなく、業務改善や新たなマニュアル作成にも役立てることができるでしょう。
カスタマーサポートサービス代行の料金相場

カスタマーサポートサービス代行の料金相場は、課金形態により異なります。月額固定制の場合は約10〜30万円、従量課金制の場合は1件あたり300〜1,500円程度です。課金形態ごとに解説していきます。
月額固定制
月額固定制は、毎月支払う金額が決まっている契約形態です。毎月の電話量やメール量、問い合わせ対応の時間帯などの見通しがある事業者に適しています。毎月必要となる金額が決まっているため、予算管理がしやすいというメリットがあります。
一方で、月額固定制では電話やメール回数の対応件数に上限が設けられていることが多く、上限を超えてしまった場合には追加で件数ごとの従量利用料金(コールオーバー)を支払う必要があります。一般に、上限超過分の利用料は割高になる傾向があるため、余裕を持ったプランに申し込むか、可能な場合は従量課金制のプランを利用することも検討しましょう。
従量課金制
従量課金制は、対応時間や対応件数など、実際の利用量によって料金が発生する仕組みの料金形態です。問い合わせ数が不安定な場合だけでなく、セールやキャンペーン、季節商品の販売など、時期によって問い合わせが変動する場合にも適しています。利用した分だけ費用が発生するため、初めて代行サービスを利用する場合でも申し込みのハードルが低いと言えます。
その他の費用
- 初期費用:5〜10万円程度、料金形態に関わらず発生することが多く、主にマニュアル作成やオペレーターのトレーニング、必要機材やソフト利用に伴う料金です。初期費用がかからない代行会社もありますが、その場合は利用料に上乗せされている場合が一般的です。
- オプション:対応するカスタマーサポートサービスの内容に合わせて、オプション料金が発生する場合があります。例えばその分野での専門知識や経験を必要とするテクニカルサポートや、土日祝日の顧客対応などが挙げられます。
代行会社によって料金体系は異なるため、必要に応じて見積もりを比較したり、担当者と相談したりしながら自社に合うプランを選びましょう。
カスタマーサポートサービス代行の選び方

必要とする業務に対応しているか
カスタマーサポートサービス代行を選ぶ際、まず重要なのは必要とする業務を行っているかを確認することです。電話・メールの対応だけを必要としているのか、SNSやチャットなどでの顧客対応が可能かといった点も確認が必要でしょう。さらに、顧客データの管理や分析まで依頼できるのか、問い合わせの多い内容とその回答をウェブサイト掲載用に文書化できるかといった点も問い合わせます。
セキュリティ対策は万全か
代行会社は顧客情報を取り扱うため、情報漏洩といったトラブルを避けるためにも、セキュリティ対策がしっかり行われている企業を選びます。特に個人情報取り扱い関連トラブルにおいては、企業の信頼を失ったり悪いイメージを残したりするリスクが高いことから、セキュリティ対策の内容を確認し、安心して利用できる代行会社を見つけましょう。
顧客対応のクオリティは十分か
顧客対応はブランドイメージや企業の信頼性に直結するため、安心できる対応品質であるかを確認する必要があります。スタッフ育成のためのトレーニングがしっかり行われているか、実績はあるか、口コミの評価は高いかといった点を確認し、安心して顧客対応を任せられるクオリティかどうかを見極めましょう。
カスタマーサポートサービス代行会社5選
- ベルシステム24:年間5億コールの顧客対応を行っており、小売から金融、医療、官公庁まで幅広い業界での導入実績があります。
- ポールトゥウィン:ゲームメーカー、ECサイト、コミュニティサイト、日用品販売店など、幅広い業界での実績があり、英語・中国語・韓国語など20言語での問い合わせ対応も行っています。
- 日本トータルテレマーケティング:24時間365日対応で、メールやチャットなどマルチチャネルでの対応を行っています。
- イー・ガーディアン:従量課金型の料金体系を採用しており、24時間365日対応しています。
- おてがるサポート:低コストで導入できる月額固定制のカスタマーサポートサービス代行会社で、対応ボリュームに合わせて3つのプランと各種オプションが用意されています。
カスタマーサポートサービス代行を依頼する際の注意点

業界の導入実績や口コミを確認する
カスタマーサポートサービス代行を依頼する際、まず業界の導入実績や口コミを確認します。特にIT関連商品やサービスなど、専門的な知識やサポートを必要とする場合、業界の導入実績があるかという点は重要です。すでにある程度の専門知識を持ったスタッフがいれば、教育コストも抑えられるでしょう。また、口コミは実際にサービスを利用した企業の率直な感想や評価、改善点が含まれているため、忘れずに事前に確認することをおすすめします。
複数企業の見積もりをとって自社に合ったものを選ぶ
代行会社を決める際には、複数企業の見積もりをとって、自社に合ったものを選びます。料金体系が見合っているか、必要なサポートが含まれているかだけでなく、対応チャネルや対応時間、教育体制などカスタマーサポートサービス代行の全体像を見比べて、自社に合うものを探すと良いでしょう。ウェブサイトで提示されているサポートが、実際にはオプション扱いだったというケースも珍しくありません。まずは自社に必要なサポートをリストアップした上で、それらが見積もりに含まれているか、一つずつ照らし合わせて確認することをおすすめします。
また、見積もりの備考欄や注意事項などもしっかり確認します。追加料金が発生する条件等が記載されていることがあり、これらを見落としたために予算以上の料金が発生してしまうというケースも少なくありません。
本当に外注が必要か精査する
カスタマーサポートサービス代行の業務内容や見積もりを確認し、本当に外注する必要があるかを精査しましょう。外注するつもりで見積もりをとったものの、予算を大幅に超えてしまう場合や、専門知識が必要となるため、外注よりも社内で担った方が顧客対応が円滑に進むケースもあります。
カスタマーサポートサービスを自社で担う場合の流れ

カスタマーサポートサービスを外注せず自社で担う場合、まずは従業員の採用プロセスに沿って求人を掲載し、人材を募集します。書類選考や電話・対面での面接を通じて、適性を持った人材を採用しましょう。
人材採用後は、職場環境に早く馴染み、早期に戦力として活躍できるようオンボーディングを行います。具体的には以下のような取り組みが考えられます。
- オリエンテーション:会社や事業内容の紹介、社員の紹介を行う
- 顧客メールの処理:実際に顧客からのメールや問い合わせ対応を行う
- 必要なツールの説明:配送確認や顧客情報確認ができるツールの使用方法を説明する
- 一般的なシナリオの説明とケーススタディ:よくある問い合わせやクレームへの対応方法を考え、フィードバックを行う
- 質問できる環境を整える:気軽に質問できる環境を整えることで、迅速に業務に慣れるだけでなく、活発なコミュニケーションを促進する
カスタマーサポートを自社で担う場合、以下のメリットとデメリットがあることにも留意が必要です。
- メリット:問題解決が円滑である、問い合わせの内容を迅速に反映できる、個人情報漏洩のリスク軽減ができる、ツール等を活用すればコスト削減につながる
- デメリット:人材育成やオンボーディングの手間とコストがかかる、立ち上げ時だけでなく継続して人件費確保が必要となる
まとめ
カスタマーサポートサービス代行は、自社の顧客対応業務を外注してくれるサービスのことです。代行会社のスタッフが自社に常駐する常駐型と、代行会社が運営するコールセンターなどで顧客対応業務を行う受託型の2つに大別されます。
カスタマーサポートサービス代行を利用することで、業務負担の軽減やコスト削減、顧客対応品質の向上、さらには営業時間がいの対応なども可能となります。一方で、自社に顧客対応のノウハウが蓄積しにくい、個人情報漏洩のリスクがあるといったデメリットもあります。
カスタマーサポートサービス代行を利用するのではなく、自社で社員を雇って顧客対応を行う方が効率的な場合もあります。その際には、オンボーディングを行ったり、ツールを導入したりする必要があります。
カスタマーサポートサービスは、代行会社を利用する場合でも自社で担う場合でも、自社に合った方法を見つけて採用することが重要です。今回の記事を参考に、カスタマーサポートサービス代行活用を検討し、業務効率化と顧客満足度向上を目指しましょう。
カスタマーサポートサービス代行に関するよくある質問
カスタマーサポートサービス代行とは?
カスタマーサポートサービス代行(CS代行)とは、自社の代わりに顧客対応業務を請け負う外注サービスのことです。代行業者を活用することにより、個人事業主や人員が限られている事業者は、人的リソースをマーケティングや商品開発などのコア業務に集中させることができるようになります。
カスタマーサポートサービス代行を利用するメリット・デメリットは?
メリット
- 業務負担の軽減
- コスト削減
- 顧客対応品質の向上
- 営業時間外の対応
- 顧客満足度向上
デメリット
- 自社にカスタマーサポートのノウハウが蓄積しにくい
- 代行会社との連携・進捗確認など管理の手間がかかる
- 顧客の個人情報を扱うことから情報漏洩のリスクがある
カスタマーサポートサービス代行の料金相場は?
カスタマーサポートサービス代行の料金相場は、月額固定制の場合は約10〜30万円、従量課金制の場合は1件あたり300〜1,500円程度です。このほかに初期費用やオプション料金などがかかる場合があります。
文:Masumi Murakami





