プレスリリースは、企業やサービスの情報をメディアなどに届ける重要な広報ツールです。内容や構成次第で報道されるかどうかが大きく左右されるため、記者が興味を持つよう工夫し、伝えたい情報をわかりやすく整理することが大切です。
また、プレスリリースはビジネスを宣伝できる効果的な手段でもあり、信頼性が高いためブランディングにもつながります。
本記事では、プレスリリースの書き方やすぐに使えるテンプレート、書き方のコツなどをわかりやすく解説します。初めてプレスリリースを書く人でも、この記事を読めば自信を持って作成できるようになります。
プレスリリースの書き方

1. ニュースとして価値のある切り口を見つける
プレスリリースを成功させる第一歩は、ニュースとしての価値があるかを見極めることです。
単なる商品紹介やお知らせではなく、社会的な話題性や季節感、目新しさなど、報道関係者や読者が価値を感じる切り口を探しましょう。例えば、地域初や業界初、社会課題の解決、流行との関連などはニュース性があります。
自社の取り組みを客観的に見て、なぜ今この情報を発信するのかを明確にすると、メディアにも届きやすいプレスリリースになります。
2. 注目を集めるタイトルをつける
プレスリリースのタイトルは、読者の関心を引きつける入口です。最も伝えたい利点や価値を明確にし、それをシンプルで魅力的な言葉で表現しましょう。キャッチーでありながら、誰が読んでもすぐに理解できる構成が理想です。
「〇〇が新登場」「業界初の〇〇」など、事実を交えつつニュース性を感じさせる表現が効果的です。多くの記者やライターは、見出しなどのコピーライティングに本文と同じくらいの時間をかけるとも言われています。迷ったときは、よくクリックされるニュースサイトやプレスリリース配信サイトのタイトルを参考にしてみましょう。
3. サブタイトルで内容を伝える
サブタイトルは、タイトルだけでは伝えきれない情報を補足し、プレスリリース全体の要点を一文にまとめる役割を持ちます。
タイトルで興味を引いたあと、サブタイトルで「どんな背景があり、何が得られるのか」を簡潔に伝えることで、記者や読者に理解されやすくなります。例えば、「〜を記念して開催」「〜の需要増加を受けて開発」「〜地域で初の導入」など、ニュース性や目的を端的に示す表現が効果的です。
一文で内容が把握できるように、「いつ・どこで・なぜ・何を」を意識して構成しましょう。
4. リード文で重要な情報をわかりやすく整理する
リード文は、プレスリリースの冒頭で「誰が・何を・いつ・どこで・なぜ・どのように」を簡潔にまとめる最も重要なパートです。
読者はここでリリース全体の内容を判断するため、長すぎず、一読で要点がわかるように構成しましょう。その際、具体的な数字や日付を入れると信頼性が高まります。また、文章の冒頭で結論を示す「結論先行型」にすることで、メディア担当者にも読みやすく、採用されやすいリリースになります。
5. 本文で背景や補足情報を詳しく説明する
本文では、リード文で示した要点をさらに深掘りし、読者が「なぜこのニュースが重要なのか」を理解できるようにします。具体的には、開発の背景や目的、商品・サービスの特徴、導入による効果、今後の展望などを整理して伝えます。
また、数値データやグラフ、事例、担当者コメントなどを加えることで、信頼性と説得力が高まります。長文になりすぎないよう、段落ごとにテーマを分け、見出しや箇条書きを使うのも有効です。メディアが引用しやすいように、専門用語はできるだけ避け、一般の読者にも伝わる平易な言葉で書くようにしましょう。
6. 読者が次に取るべき行動を示す
本文の最後には、読者やメディアが次に何をすべきかを明確に示しましょう。
例えば、「詳細はこちら」「イベントの申し込みはこちら」「取材のご依頼は〇〇まで」といった形で、具体的なアクションへの導線を作ることが大切です。
URLや連絡先を記載する際は、見やすく配置して迷わずアクセスできるようにします。特にメディア向けの場合は、担当者名や連絡先メールアドレスを明記することで、取材依頼や掲載のチャンスが広がります。
7. 会社情報で締めくくる
会社情報は、プレスリリースの最後に掲載する企業紹介文で、読者に信頼感を与える重要な要素です。ここでは、会社の正式名称、所在地、代表者名、設立年月、事業内容、公式サイトURLなどを簡潔にまとめます。
特に初めて名前を知る読者やメディアに向けて、「どんな会社がこのリリースを出しているのか」がすぐにわかるようにすることが大切です。文章は定型的でも構いませんが、企業理念やミッションなどを一言添えると印象が良くなります。すべてのプレスリリースで統一して使えるよう、プレスキットを用意しておくのも良いでしょう。
プレスリリースのテンプレート

新商品・新サービス発表用テンプレート
タイトル:
【新商品発売】[会社名やブランド名]、「[商品名]」を[どこで 例:公式オンラインストア]で販売開始
サブタイトル:
[コンセプトや提案できる利点 例:日常をもっと便利に。〇〇のある暮らしを提案]
本文:
[会社名](所在地:[住所]、代表取締役:[代表者氏名])は、[いつ]より、新商品「[商品名]」を[取扱店舗]にて販売開始いたします。
「[商品名]」は、[理念や利用シーン 例:〇〇なシーンで活躍する〇〇]をコンセプトに開発されました。[強みやこだわり 例:素材やデザイン]にこだわり、[利点や売り 例:使いやすさと品質を両立]しています。
【商品の特徴】
例:
・〇〇な素材を使用し、耐久性を向上
・〇〇なデザインで持ち運びやすい
【商品概要】
商品名:[商品名]
発売日:[発売年月日]
価格:[税込価格]
販売場所:[取扱店]
【会社概要】
会社名:
所在地:
代表者:
設立:
事業内容:
イベント・キャンペーン告知用テンプレート
タイトル:
【期間限定キャンペーン】[企業名やブランド名]、「[キャンペーン名 例:〇〇フェア]」を[開始日]より開催
リード文:
[企業名](所在地:[住所]、代表取締役:[代表者氏名])は、日頃のご愛顧に感謝を込めて、[開始年月日]より「[キャンペーン名]」を開催いたします。期間中は、[キャンペーンの内容 例:対象商品が最大〇%OFFとなるほか、限定ノベルティのプレゼント]も実施します。
本文:
「[キャンペーン名]」は、[キャンペーンの概要 例:〇〇なテーマを掲げた期間限定]のキャンペーンです。[開催場所]で開催し、より多くのお客様にお得にお買い物をお楽しみいただけます。
【キャンペーン概要】
期間:[キャンペーン期間]
実施店舗:[開催場所]
内容:[キャンペーン内容 例:対象商品の割引・限定特典プレゼント]
プレスリリース配信のコツ

メディアや記者へ直接アプローチする
メディアや記者へ直接アプローチする際は、まず自社のニュースに関心を持ちそうなメディアや担当記者を明確にしてリスト化しましょう。
記者の連絡先は、ニュースサイトや公式ページの記者紹介欄、またはLinkedIn(リンクトイン)などから見つけられることがあります。
メールを送る際は、件名で興味を引くことが大切です。「PR:新サービス発表」「プレスリリース:イベント開催」など、リリースであることを明示すると開封率が上がる傾向があります。返信がない場合は、数日後に丁寧なフォローアップメールを送るのも効果的です。
プレスリリース配信サービスを活用する
プレスリリース配信サービスを活用することで、自社ではリーチできない多くのメディアや読者に効率的に情報を届けることができます。
代表的なサービスには、PR TIMES、@Press、共同通信PRワイヤーなどがあり、業種や目的に応じて最適な媒体を選ぶことが大切です。これらのサービスは、全国の新聞社やテレビ局、ニュースサイトなどと提携しており、一度の配信で数百のメディアに情報を届けることも可能です。
また、自社SNSやGoogleビジネスプロフィールの投稿、地域メディアの無料掲載欄など無料で出せる広告・告知枠も併用すると良いでしょう。
広報・PRの専門家に依頼する
プレスリリースの効果を最大化したい場合は、広報やPRの専門家に依頼するのも有効です。
専門家は、メディアが取り上げたくなる構成や表現、配信のタイミングを熟知しており、自社では気づかないニュース価値を引き出してくれます。また、メディアとの関係構築や掲載実績のあるライターが原稿をブラッシュアップすることで、より高い反響を得られる可能性もあります。
速報性のある内容は早めに配信する
速報性のあるニュースや季節性の話題は、タイミングを逃さず早めに配信することが重要です。
メディアは「今まさに起きていること」や「これから起こること」に関心を持つため、イベントやキャンペーン、新商品などの案内は、開催日や発売日よりも前に届けるのが理想です。特に週末や祝日をまたぐ場合は、メディアの編集スケジュールを考慮し、平日の午前中に配信することで掲載のチャンスが高まります。
季節ネタやトレンドに関する話題は、世間の注目が集まる前に出すことでニュース価値が上がり、より多くのメディアに取り上げられる可能性が高まります。
プレスリリースを出す良いタイミング

新商品・新サービスの発表
新しい商品やサービスの発売は、最も一般的で注目されやすいプレスリリースのタイミングです。発売開始日や特徴、開発背景などを明確に伝えることで、メディアや消費者の関心を集められます。リニューアルや新機能追加などもニュース性があるため、継続的な情報発信に適しています。
イベントやキャンペーンの開催
展示会・セミナー・期間限定フェアなど、開催日時や会場が明確なイベントは発表の好機です。事前告知で参加者を募り、終了後には実施報告として再度リリースを出すと効果的です。メディア露出やSNS拡散にもつながります。
新しい提携・パートナーシップの発表
企業同士の提携や共同開発、自治体との連携などは、信頼性や期待感を高めるニュースです。協業の目的や背景、今後の展望を具体的に伝えると、メディアに取り上げられやすくなります。写真やコメントを添えるのも効果的です。
企業の節目・組織変更
代表や役員の交代、ブランドリニューアル、設立記念などの節目は、自社の変化を発信する好機です。経営方針やビジョンの刷新を伝えることで、投資家や顧客に安心感を与えられます。社内文化の再構築にもつながります。
受賞や認定の発表
第三者機関や業界団体からの受賞・認定は、企業の信頼性を高める重要なニュースです。受賞理由や背景を具体的に説明し、写真や審査コメントを添えると説得力が増します。メディア掲載や顧客からの信頼獲得にも効果的です。
緊急性・速報性のある発表
社会的関心が高い話題やトレンドに関わるニュースは、スピーディーな発信が鍵です。季節商戦や時事ニュースと関連づけて発表することで、報道価値を高められます。話題が盛り上がる前に出すのがポイントです。
プレスリリースの書き方の参考になるサイト
PR TIMES
PR TIMES(ピーアールタイムズ)は、日本で最も利用されているプレスリリース配信サービスのひとつです。
多くの企業が新商品やイベント情報の発表に活用しており、メディアだけでなく個人でも自由に閲覧できます。カテゴリやキーワードで検索できるため、自社と近い業種の書き方や構成を参考にするのに最適です。
また、PR TIMESマガジンでは「効果的なリリース事例」などの解説記事も掲載されており、初めてプレスリリースを書く人にとっても実用的な情報が得られます。
@Press
@Press(アットプレス)は、テンプレートや書き方ガイドが充実しており、「新商品発売」「イベント開催」「キャンペーン告知」など目的別に使える雛形を提供しています。
実際に配信されたリリースも一覧で閲覧できるため、どのような構成や表現がメディアに取り上げられやすいかを具体的に学べます。また、写真付きリリースや取材につながった事例も多く、初めてプレスリリースを作成する人にも参考になる情報が揃っています。
共同通信PRワイヤー
共同通信PRワイヤーは、全国の新聞社やテレビ局など、信頼性の高い報道機関への配信ネットワークを持つプレスリリース配信サービスです。
サイト上では、実際に配信されたプレスリリースを業界別・テーマ別に閲覧でき、構成やトーンなど、報道に適した書き方を学ぶのに役立ちます。
また、メディア掲載実績や取材につながった事例も豊富で、信頼度の高い媒体への露出を目指す際に参考にしたいプラットフォームです。
まとめ
プレスリリースは、企業のニュースを社会に届けるための重要な手段です。しかし、どんなに魅力的な情報でも伝え方次第で反応は大きく変わるため、基本構成やタイミングなど、プレスリリースの書き方のコツを押さえることが大切です。
この記事で解説したプレスリリースの書き方や例文を参考に、効果的なプレスリリースを作成してください。
よくある質問
プレスリリースの7つの要素は?
- タイトル
- リード分(要約)
- 日付と発表場所
- 本文
- 引用文
- 会社概要
- 締め文
注目を集めるプレスリリースを書くコツは?
注目を集めるプレスリリースを書くには、「新しい」「発表」などの注意を引く言葉を使い、データやトレンドと関連のある情報を盛り込みましょう。重要情報は箇条書きや太字で強調すると効果的です。
文:Takumi Kitajima





