デジタル技術の発展に伴って、オンラインでの関係構築が重要性を増す中、効果的な営業手法の1つとしてソーシャルセリングに注目が集まっています。国内でもSNSを通して効率的に見込み客へアプローチできた成功事例も増えていることから、新たな販路を拡大していくためにも試してみる価値のある営業手法といえるでしょう。
この記事では、ソーシャルセリングの概要とともに、ソーシャルセリングプラットフォーム一覧を解説します。またソーシャルセリングを効果的に行う方法やおすすめのShopify(ショッピファイ)アプリ6選も紹介してますので、ぜひ参考にしてみてください。
ソーシャルセリングとは?

ソーシャルセリングとは、SNSを活用して顧客との信頼関係を構築し、購買につなげる営業手法です。新規開拓の場合でも、電話営業や飛び込みのような従来の営業手法と比べ、自然なコミュニケーションで情報提供や関係構築を行える点が特徴です。ソーシャルセリングを活用するメリットは下記の通りです。
- 素早くアプローチできる:スマートフォンやパソコン等、SNSが利用可能なデバイスと環境があればいつでも顧客に連絡がとれます。
- コストを抑えられる:広告費用などをかけずにSNSでの発信・交流を通して顧客を発見できます。また営業のための移動費・人件費削減につながります。
- 顧客との関係構築が自然にできる:商談の実施前に、フォローやDM、投稿への「いいね」など様々な手段で接点を持つことができます。
- 見込み顧客の発掘と接触がしやすい:SNSによってはキーワードでフォロワーを分類できたり、ハッシュタグで検索すれば関連した投稿をしているユーザーを発見できたりするので、狙ったユーザーに対して効果的に接触できます。
アメリカではすでに主流の営業手法となりつつあり、特に世界で8億人以上のユーザー数を誇るビジネス向けSNSのLinkedIn(リンクトイン)を中心にソーシャルセリングが活発に行なわれています。日本国内でも徐々に浸透しており、従来の営業手法が抱えていた非効率さを解消できる新たな手法として注目が集まっています。
ソーシャルセリングプラットフォーム一覧

1. LinkedIn
LinkedInはアメリカ発のビジネスに特化したSNSプラットフォームです。ユーザーの役職や業界などでフィルターをかけて検索すれば、企業の決裁権限者をピンポイントで発掘し接触できる特徴があるため、BtoB向けのソーシャルセリングプラットフォームとして国内でも成功事例が増えています。また、自身のソーシャルセリング活動のスコア化できるソーシャルセリングインデックス(SSI)機能も備えています。
2. X
X(エックス)は、総務省の調査でも日本国内での利用率が50%以上となるほど広く普及しており、BtoBに加えBtoCに向けの営業にも適しているプラットフォームです。業界トレンドや製品情報をタイムリーに発信することで潜在顧客との接点を増やすことができ、またリポストやいいね・メンションの機能を用いた双方向の交流で、自然な関係構築が可能です。キーワード検索機能を活用することで、見込み客の発掘も効果的に行える特徴があります。
3. Instagram
Instagram(インスタグラム)は、10〜30代女性を中心に利用されるビジュアル重視のSNSです。アパレル・美容・エンタメ・グルメなどBtoC業界での活用が特に盛んなため、BtoCに強いといえます。また、BtoBで営業活動を行う際には、画像・動画を活かしたノウハウ解説などのコンテンツが適しているでしょう。インスタストーリーやリールによるリアルタイム発信、ユーザー間で盛り上がるハッシュタグなど、認知拡大に活かしやすい機能や環境がそろっています。
4. Facebook
Facebook(フェイスブック)は、30〜50代の利用者が多いSNSプラットフォームです。実名登録制による信頼感から、BtoBのソーシャルセリングと親和性が高いのが特徴です。企業ページでの定期的な情報発信は顧客との関係性を深めるのに役立ち、Facebookグループへの参加によって業界関係者とのネットワーク構築や情報交換にもつなげられるでしょう。
5. LINE
LINE(ライン)は国内での利用率が94.9%にも上り、主要なコミュニケーションツールのひとつとなっています。メッセージがリアルタイムにやり取りされるツールでもあるため、顧客へ素早く情報提供できる点も特徴です。またテキストメッセージに画像や動画を組み合わせた「リッチメッセージ」機能で分かりやすく情報を伝えたり、購買の促進に効果的なクーポン配布機能を活用することもできます。
ソーシャルプラットフォームを効果的に使う方法

ターゲット層を明確にする
ソーシャルセリングを行う前に、まずはターゲット層を明確にしましょう。ペルソナ設定を通して、ターゲットの年齢・性別だけでなく、性格や価値観などを細かく分析するのがおすすめです。適切なペルソナ設定を行なうために、ぜひ以下の方法を通して情報を得てみるといいでしょう。
- 市場調査:企業が商品・サービスを提供する業界に関する情報を収集・分析することです。ビジネスプラン・マーケティング戦略の策定、ブランディングにも役立ちます。
- 競合調査:競合他社のビジネスモデルと自社とを比較し、競合優位性を確立できるポイントを見極めます。顧客に選ばれる商品・サービスの開発・提供にも大いに役立ちます。
魅力的なコンテンツを作成する
ソーシャルセリングには、ユーザーが閲覧やリアクションを行いたくなる魅力的なコンテンツによる、エンゲージメント投稿が欠かせません。ユーザーは広告を見るためではなく、他のユーザーが投稿したコンテンツを通じた学びや楽しみ、コミュニケーションのためにSNSを利用しています。エンゲージメントを高める効果的なコンテンツの例は、下記のとおりです。
- ユーザー生成コンテンツ(UGC)のリポスト:購入者のレビューやSNS投稿などを自社アカウントで発信する
- インフルエンサーマーケティング:インフルエンサーとコラボして拡散する
- コンテンツマーケティング:ターゲット層が抱える不満を解決する記事や、ノウハウ・使い方の解説コンテンツなどを投稿する
- 動画マーケティング:商品利用・開封体験の動画、制作の舞台裏、企業独自のストーリーなどを動画で伝える
- プレゼントキャンペーン:リポスト&フォローキャンペーンやいいねキャンペーンなどでプレゼントを提供し、ユーザーを巻き込む
顧客との信頼を大事にする
ソーシャルセリングでは、すぐに営業せず信頼関係の構築を重視することが重要です。ユーザーのニーズや関心を理解し、ユーザーにとって役立つ情報を提供することから始めるといいでしょう。営業色が強いSNSの発信は嫌悪感を抱かれることも少なくないため、信頼を構築できるまで営業は避け、相手の投稿や業務内容に寄り添った自然なコミュニケーションを心がけましょう。特にBtoB営業では課題理解から始めることで、関係構築や営業の成果につながる可能性を高めます。
ソーシャルセリングプラットフォームとShopifyの連携アプリ6選
1. Facebook & Instagram

Shopifyの公式Facebook & Instagramアプリを使用すると、ShopifyのダッシュボードとSNSショップ機能を連携させることができます。これにより、決済を含めたアプリ内ショッピングの設定や、データ追跡ピクセルの追加、広告の作成などを管理することができます。また、顧客からの反応が良いコンテンツや商品の分析も可能で、競合優位性の維持に役立ちます。
2. Pinterest

Pinterest(ピンタレスト)の公式Shopifyアプリを使用すると、PinterestアカウントをShopifyストアに同期し、商品に関する「ピン」(画像や動画をまとめたブックマーク)を投稿できます。商品カタログ全体をほぼリアルタイムで同期させることができるため、すべての商品のピンが広告として配信できるようになります。
3. Google & YouTube

Google & YouTubeは、Google(グーグル)検索やYouTube(ユーチューブ)動画を通じたソーシャルセリングをサポートするShopifyアプリです。このアプリを使用すると、Shopifyストアの商品がGoogle Merchant Centerと同期され、Googleショッピングリストや関連動画の下に表示されるようになります。
4. TikTok

TikTokは、TikTokによって開発された公式アプリです。商品の画像や動画をアップロードするだけで簡単にTikTok動画を作成できたり、広告としての配信や効果分析などの管理を行うことができます。また、TikTok Shopとの連携も可能となります。
5. Instafeed

Instafeed(インスタフィード)は、Instagramで行った投稿をネットショップにフィード表示させることができるShopifyアプリです。無料でも利用可能ですが、有料プランの場合はShopifyストアで販売する商品をInstagramでタグ付けしたり、ハッシュタグごとでフィルタリングできたりして、ネットショップで購入してもらうための導線を作る機能をさらに活用できます。
6. CRM PLUS on LINE
CRM PLUS on LINEは、ShopifyとLINEから収集した顧客・購買データをもとに様々なマーケティング施策を実現できるShopifyアプリです。LINE連携した顧客に対して購入・発送通知やカゴ落ちメッセージを送信できたり、顧客をデータから分類して柔軟にメッセージを配信できたりします。
まとめ
ソーシャルセリングは従来の営業手法と比べて、見込み客に効果的にアプローチできたり、コストが抑えられたりと様々な面でメリットをもたらします。日本においてはまだ発展途上の分野ですが、アメリカにおいては主流の営業方法となっているなど、可能性は十分といえるでしょう。
効果的に活用するには、例えばBtoBならLinkedIn、BtoCはInstagramというように、ユーザー層によって適したソーシャルセリングプラットフォームを見極めることも大切です。そしてなにより、単純に売り込もうとするのではなく、顧客との関係性を常に念頭に置くことが欠かせません。Shopifyではソーシャルセリングプラットフォームに有効なアプリも豊富に用意してありますので、ぜひ活用してみてください。
ソーシャルセリングプラットフォームに関するよくある質問
ソーシャルセリングとソーシャルメディアマーケティングの違いは?
ソーシャルセリングとソーシャルメディアマーケティングは、ターゲットと目的が異なります。具体的には以下のような違いがあります。
- ソーシャルセリング:見込み客をターゲットとし、購入してもらうための営業手法
- ソーシャルメディアマーケティング:見込み客を含む幅広い層をターゲットとし、認知度向上やブランド構築が目的の活動
主要なソーシャルプラットフォームの例は?
- X
- Line
ソーシャルセリングを活用するメリットは?
- 見込み顧客へ素早くアプローチできる
- 多くの有料広告に比べてコストを抑えられる
- 自然な形で顧客との関係構築ができる
- 見込み顧客の発掘と接触がしやすい
ソーシャルセリングに活かせるShopifyの連携アプリは?
- Facebook & Instagram
- Google & YouTube
- TikTok
- Instafeed
- CRM PLUS on LINE
文:Ryutaro Yamauchi





